新型プリウスPHV「HVとは別物」に見るトヨタの本気新型プリウスPHVモデルは、スタイリングからしてこれまでのプリウスとは全くの別物と思うほど違う Photo by Akira Yamamoto

ベールを脱いだ新型プリウスPHV
従来のプリウスとは全くの別物

 トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)に次ぐ次世代環境車の柱として位置づけ、開発した新型「プリウスPHV(プラグインハイブリッド車)」がベールを脱いだ。PHVは、家庭用のコンセントから直接バッテリーの充電できるハイブリッド車ということだが、より電動車としての走行距離が長くなった。

 トヨタが今冬に発売する新型プリウスPHVの事前試乗会に参加する機会を得て、筆者はこの新型プリウスPHVに試乗してきた。その印象は「トヨタがPHVに本腰を入れた」である。

 まず、この新型プリウスPHVモデルは、スタイリングからしてこれまでのプリウスとは全くの別物と思うほど違う。フロントデザイン、リアのデザインともに差別化してきた。一目でPHVモデルと判断できるのだ。さらに試乗してみると、EVモード走行での加速のレスポンスやコーナリングの切れの良さが体感できた。

 これは現行PHVと4代目プリウスHVの、二つのモデルとの比較試乗での実感である。特に現行PHVモデルとの比較では「これだけ進化したか」と思うほどで、まさに「雲泥の差」の違いがあった。新型モデルではEV走行をいかに重視したかがわかる。

 トヨタのハイブリッド車戦略は、1990年代末から次世代環境車への大きなステップとして推進され、一定の成果を収めた。だが、世界各地で厳しくなる環境規制は、HVからPHVやEV(電気自動車)、さらにFCV(燃料電池車)への転換を余儀なくさせる。

 特にPHVは当面、HVに次ぎ、実用的な次世代エコカーとして普及促進への期待が大きい。実際に欧州勢などは、このPHVに照準を定めてきており、トヨタとしてもグローバル自動車市場のリーダーとして、この新型プリウスPHVは、世界に向けても大きくアピールしていくものであろう。

トヨタが火をつけた
日本でのハイブリッド車人気

 昨年2015年12月に発売された新型プリウスは、4代目としてトヨタが設計や調達、生産技術まで含めたクルマづくりを大改革したTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を導入した第1弾車として登場した。4代目プリウスは、このTNGA新プラットフォームを採用した低重心のスタイリングに加え、40.8km/Lの燃費性能などが好評であり、日本国内市場の新車販売ランキングでは、7月まで8ヵ月連続の首位を続けている。現在でも納車まで6ヵ月待ちと言われるほどの売れ行きを示している。