選ばれた人材が米国を忌避し、
別の国へ流出する可能性

津川友介さんと中室牧子さんによる『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』(ダイヤモンド社)が2月17日から発売予定。208ページ、1728円(税込み)

 外国人医師の治療成績が優れていることに関して、津川氏は「米国の医学教育が劣っているという意味ではありません。そうではなく、彼ら外国出身の医師は、向上心があり、米国の医師免許の試験や就職活動などに成功してきた選りすぐられた人々なのです」という。

「これまで外国人医師は、米国の医療の4 分の1という"量"を担っていることが知られていました。しかし、今回の研究結果から彼らは米国人医師と同等か、それ以上に"質"の高い医療を提供していることが明らかになりました」

 自国での医学教育を終えたのち、米国の医師国家資格試験と不利な条件下での研修施設側からの選別という高いハードルを超えてきた彼らの背景を考えれば、当然といえば当然だろう。マイノリティであることは成功への強いモチベーションとなる。

「しかし、トランプ大統領の入国禁止令はこうした貴重な人材を他国へ追い出すことになりかねず、アメリカの医療の質が低下するという予期せぬ結果を生むかもしれない」と津川氏は懸念する。

 外国人医師の比率が米国並みの国は、英語圏だけでも英国、カナダ、オーストラリアがある。特にカナダのトルドー首相は、難民・移民を歓迎する姿勢を示しているだけに、米国を見限った外国人医師がカナダを目指す可能性はある。トランプ政権下の4年が米国の医療にどう影響するのか、不透明感は増すばかりだ。