エリート外国人サラリーマンによる
痴漢行為も増加中

 実際に斉藤氏が痴漢加害者から聞いたというエピソードを語ってくれた。

「痴漢を始めて間もない頃、電車内で女性の身体をまさぐっていると、まったく抵抗しないので、『俺のテクニックで気持ち良くなってるのかな』と思いながらも目的の駅に下車しました。すると、その女性も同じ駅で降りたそうなんです。『やばい、とうとう駅員に突き出されるかも』と思ったら、女性が声をかけてきて、話をするうちに意気投合。そのままラブホテルに行って、セックスをしたというのです」

斉藤章佳(さいとう・あきよし)/精神保健福祉士・社会福祉士、大森榎本クリニック精神保健福祉部長。1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、アルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・虐待・DV・クレプトマニアなど様々なアディクション問題に携わる。

 まるでAVのようなストーリーで女性側からの証言もないため、にわかには信じがたいが、このようなエピソードを語る相談者が何人かいたことは事実だという。

 痴漢サイトなどの影響から幻想と現実が混同している可能性も高いが、その加害者にとってのある種の成功体験(ビギナーズラック)が忘れられずに、頭の中に刷り込まれているため、「またセックスできるかもしれない」と期待しながら、痴漢を繰り返してしまったケースと考えられる。

 また、最近の傾向として、ここ5年ほどは外国人の受診者も徐々に増えてきていると斉藤氏は指摘する。

「相談にくる外国人の多くは、大手企業から転勤してきた方やIT技術者などのいわゆるエリート層。母国では性犯罪歴がないのに、日本に長期滞在する期間で日本特有の満員電車で偶然女性の身体に触れてしまったことをきっかけに、痴漢行為を学習し常習化するケースが多いのです」

 実は、「痴漢」という言葉は外国にもかなり広まっているという。

「不名誉なことですが、今では『Chikan』という言葉は『Tsunami』や『Ramen』のように世界共通語になりつつあります。その理由は、痴漢を題材にした日本のAVが無料アダルトサイトで世界中で観られているからでしょう。日本のいわゆる痴漢モノAVが痴漢行為の引き金になっていた例もありました」

 被害者側の女性からすれば、言葉も通じないような外国人に痴漢されるとなると、さらなる恐怖心で声もあげづらい。これからも日本に外国人が増えてくることは確実なので、痴漢も同様に増えてくる可能性はあると斉藤氏は指摘する。