いま、大学生を中心とした10代~20代の若者たちの間で、社会貢献ブームが起きている。キャンパスには社会貢献サークルが増加。卒業論文のテーマにさえなっているという。さらに、NPOやNGOへの就職希望者も急増。社会貢献を仕事にしたい、社会起業家になりたいと本気で考える学生が続出中だ。

 いまや、「社会貢献」は就活を控えた学生たちを惹きつける強力なキーワードになった。

社会貢献で
メシが食えるのか? 

アメリカン・エキスプレスとダイヤモンド社が共同で立ち上げた、社会貢献を志す若者を応援するプロジェクト『世界を変える100人になろう』。

 しかし、現実はそんなに甘くはない。日本のNPOスタッフの平均給与は200万円と言われており、本業では食べていくことができない人も多い。普通のビジネス以上に困難が伴う厳しい世界に、スキルも経験もない若者がそのまま飛び込んだら一体どうなるか?

 多くの若者たちは、こうした現実をきちんと理解できていない場合が多い。  

 そうした彼らが、社会貢献を仕事にすることの本当の意味を知り、社会貢献と向き合うための自分なりのモノサシを持ったうえで仕事を選び、キャリアを積んでもらいたいとの想いで発足したプロジェクトが、『世界を変える100人になろう ~社会貢献×キャリアデザイン~』だ。

【オフィシャルブック】
『社会貢献でメシを食う。~だから、僕らはプロフェッショナルをめざす』 米倉誠一郎[監修]/竹井善昭[著] 1600円+税/ダイヤモンド社刊

 リーダー育成に力を注ぐアメリカン・エキスプレスのサポートを受けて、イベント開催を決定すると共に、一橋大学の米倉誠一郎教授を実行委員長に迎え、学生プラス社会人による実行委員会を組織。さらに、オフィシャルブックとして『社会貢献でメシを食う。』も出版した。

 そして去る9月15日、満を持して迎えたイベント当日。会場の表参道ヒルズには、若者を中心に、社会人を含めた計300名が駆けつけ、会場は熱気に包まれた。

 

成功のカギとなった
会場全体の一体感

 今回のイベントの特徴は、舞台を中央に設置し、それを取り囲む形で参加者が着席する「スタジアム形式」にしたこと。後日パネリストたちからは「いい緊張感があった」、参加者からは「自分も議論に参加している実感を持てた」などの感想が多数寄せられた。

 まず、第1部のオープニングに登場したのは、アメリカン・エキスプレスのサイデル社長と米倉教授。英語と日本語を交えたトークセッションに、参加者の表情は真剣そのもの。

【オープニングトークセッション】
イノベーションを起こすためのプロフェッショナリズムの重要性を語り合った米倉教授とサイデル社長のトークセッション。アジア各国の多様な文化の中でビジネスを経験したサイデル氏は「スキルも経験もここで得た」と語り、参加者に向けては、「自分の信じることをあきらめずに最後まで追求してほしい。それが世界を変える力になる」とアドバイス。米倉教授からは「エキサイティングな時代にいるのだから、チャンスをつかめ!」と熱いエールが送られた。
(写真左)一橋大学イノベーション研究センター長/教授 米倉誠一郎氏
(写真右)アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. ロバート・サイデル氏