リーダーの「考え方」に続いて、「目標達成」についてこれまでお伝えしてきました。今回から「リーダーシップ」についてです。リーダーは部下を育てるだけが仕事ではなく、部下の力を引き出す大きな役割を担っています。重版も決まった新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、その役割について紹介していきます。

自分の言葉でしっかりと語る

 リーダーシップの定義にはいろいろありますが、私が思うリーダーシップとは、「部下の力を引き出すこと」です。

「○○長」「○○マネジャー」などと役職がついていても、部下の力を引き出すことができないなら、それはリーダーとは呼べません。

 その人が真のリーダーか、そうでないかを決めるのは、トップや上司ではなく部下です。部下から「この人はリーダーだ」と認められた人こそが、真のリーダーといえます。

 さて、部下を持ったリーダーが最初にしなければならないことは何でしょうか。

 それは、「チームのビジョン」を見せることです。

自分はこのチームをどう変えていきたいのか。どこを伸ばしていきたいのか。何を目指していくのか。……といったチームのビジョンをはっきりと提示してあげることが大切です。

 チームの将来像を熱く語るリーダーが昔はよくいましたが、最近ではめっきり少なくなっています。「下手にしゃべって後から責任を追及されたらたまらない」「黙っていたほうが無難」という「事なかれ主義」が蔓延しているのでしょうか。

 チームの方針はペーパーやメールに書いて、部下に「読んでおいて」で終わらせる人も増えています。

 チームに新しいリーダーがきたとき、メンバーは「これからどうなるんだろう」と不安に思っています。それなのにペーパーやメールで伝えるだけでは、余計に不安にさせてしまいます。

何を考えているかよくわからない人に、部下はついていきません。

 リーダーになった以上、自分の考えるチームのビジョンや、このチームをどう導いていきたいかを、自分の言葉でしっかりと語ることが大切です。リーダーが熱いものを持っていなければ、部下が仕事に対して熱くなってくれることはないのです。