北海道のとあるのんびりとした国立大学。就職率は悪くない。ここのビジネススクールで教鞭を執る著者のもとに、毎日やってくる大学3年生の学生たち。就活、進路、恋愛、人生……。不安と悩みを抱えながらも、どこかのどかで牧歌的。そんな彼らは、本当にいわゆる「ゆとり」なのか? リアルな現場の一コマを毎週リポートする。

就活難民がやってきた!

「コン、コン」
 「ハイ、どうぞ~」

 最近はどこの大学でもオフィスアワーと言って、先生の研究室を訪問していい時間帯が決められているが、私の場合はいつ訪問してもいいことにしている。結果として、後期になってから3年生が誰かしらほぼ毎日研究室にやってくる状況になっている。理由は明白。シューカツに向けての相談だ。

 そのたびにこちらの研究や仕事が中断されるわけだが、学部の授業では「教員を使い倒せ」と言い続けてきた身分であり、学生が研究室を訪問するのはどんな事情であれ何らかのモティベーションがあるはずなので、教員としては歓迎すべきだと考えている。

単に「ダメなんだよ」、とは言ってはいけない

 さて、今回の訪問者は…。

「明日、○○の1次面接なんです。それでご相談に…」
 「バカヤロウ! 前日に来てどーすんだよ! なんでもっと早く相談に来ないんだよ?」
 「だって、つい数日前に連絡があったんで…。軽い気持ちでエントリーシートを書いたら連絡が来て…」

 軽い気持ちで書くぐらいなら書くなよ、と思いながらも、そんなことを言っても始まらない。就活が不安な3年生にとっては、とにかく1社でも多くのエントリーシートを書くことが、気休めになることは私も自らの経験で分かる。私が不機嫌になったのを見て、学生は話題をすり替えようとし、

「でも、先生、この会社ってどう思います?」

 その会社は近年業績絶好調。新聞記事になることも多く、ちょっと調べればすぐにある程度の情報は集まる。しかし、どうもその作業をやっていない様子。

「バカヤロウ!相手のことを知らずに面接行ってどーすんだよ! 日経読んでる? 今朝も記事出ていたよ。あー、もう、イライラする」