求められる「情報力」とは情報を入手する力ではなく解釈して利用する力であるダイヤモンド社刊
【絶版】

「データそのものは情報ではない。情報の原石にすぎない。原石にすぎないデータが情報となるには、目的のために体系化され、具体的な仕事に向けられ、意思決定に使われなければならない」(『未来への決断』)

 情報の専門家とは道具をつくる者である。だが道具として、いかなる情報を、何のために、いかにして使うかを決めるのは、ユーザーである。ユーザー自身が、情報に精通しなければならない。

 ほとんどの企業が、情報が自らの意思決定に対して持つ意味を考えていない。したがって、情報をいかに入手するか、いかに検証するか、既存の情報システムといかに統合するかが、今日最大の問題である。

 かつては、とにかく情報を持つことが勝利への道だった。軍隊でも企業でも同じだった。ところが、情報革命により、情報が氾濫した。今では、誰でもクリックするだけで、世界中のあらゆることについて情報を得られる。

 その結果、情報力とは、情報を入手する力ではなく、情報を解釈して利用する力を意味することになった。情報のユーザー自身が、情報の専門家にならなければならなくなった。情報もまた、ほかのあらゆるものと同じく、使われて初めて意味を持つ。

「コンピュータを扱う人たちは、いまだにより速いスピードとより大きなメモリーに関心をもつ。しかし、問題はもはや技術的なものではない。いかにデータを利用可能な情報に転化するかである」(『未来への決断』)