五輪施設費を高騰させる
政治家の錆びた金銭感覚

オウチーノ代表取締役社長 兼 CEO
井端純一

いばた・じゅんいち/同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通)、『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(河出書房新社)など。

「国がたった2500億円も出せないのかね」

 東京五輪組織委員会の森喜朗会長が発した言葉に、耳を疑った。ザハ案の採用で新国立競技場の建設費が約2500億円に膨らみ(当初の見積もりは約1300億円)、批判が集中して白紙撤回した折の発言である。

 2500億円もの都民・国民の血税を「たった」とは何事か。血税を「自由に使える財布」くらいにしか考えていない錆びた金銭感覚に、政治家の本性を見た思いがした。

 新国立競技場に限らず、東京五輪の施設関連費は高騰している。立候補段階の予算約7340億円に対し、「最終的に2兆円を超えるかもしれない」(試算では3兆円超)と発言したのも森会長。批判を避けるためか、「ソチには5兆円かかっている」などという厚顔無恥なセリフもセットになっていた。東京五輪のコンセプトは「コンパクトなオリンピック」ではなかったか。

 もっとも、五輪組織委員会は、虎ノ門ヒルズのワンフロアを事務所にしているような組織だ。その賃料は坪単価で単純計算すると月約4300万円、年間5億円を超える。開催まで数十億円。開いた口がふさがらない。