もう永遠に就職できないかも――。
真冬の日本列島に溢れる溜め息

「これでは、永遠に就職できないかもしれない」「もう職を選んでいないのに、どうして仕事が見つからないのか」

 昨年、全国のハローワークはこんな溜め息で包まれた。巷がクリスマスや正月ムードになっても、職探しに訪れる人は引きも切らない。求人情報を検索するパソコンの前には長蛇の列ができ、自信をなくしてうなだれる求職者を励ます職員の姿が、ニュース番組で頻繁に映し出された。

 世界中に大不況をもたらしたリーマンショックから、まる2年。この間、日本の雇用環境は悪化の一途を辿った印象がある。不況で業績が悪化した企業は、まるで水道の蛇口をきつく絞るように人件費の抑制に走った。「派遣切り」と呼ばれる非正社員の大量解雇が社会問題化し、正社員も「給料が減るばかりかクビさえ危ない」と不安な気持ちを抱えながら、日々を過ごした。

 2009年後半以降、日本経済にはようやく本格的な回復の兆しが見え始めたものの、2010年に入ると見通しは再び暗転。春先から欧州の金融危機や米国景気の失速懸念が噴出した結果、デフレに悩む日本企業に追い打ちをかけるかのように、深刻な円高がやって来た。

 もはや設備投資や人材戦略なんて二の次。とにかく我が身を守らなければ――。悲鳴を上げる日本企業は、採用の門戸をすっかり閉ざしてしまったように見える。

 その影響は、総務省が発表する『労働力調査』のデータにも表れている。有効求人倍率(全国の公共職業安定所に申し込まれた求職者数に対する求人数の割合)は半年ほど前から改善を続けているものの、直近11月は0.57倍(季節調整値)となっており、「2人の求職者が1人分の求人をとり合う」というサバイバル状態が続く。

 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は今年6月に5.3%と、金融危機後に過去最悪となった09年7月の水準に迫った。その後は低下傾向にあったものの、10月には5.1%と再び悪化。直近11月のデータも同率(季節調整値)となった。また、前年同月比で見れば低下を続けている完全失業者数(季節調整値で約336万人)に対し、足もとでは就業者数(同約6233万人)がマイナスに転じている。日本の雇用回復は、視界不良のまま一進一退を続けていると言えるだろう。