住友林業社長 市川 晃<br />住宅の“量の時代”は終焉<br />“木化”を環境対策の柱にPhoto by Masato Kato

──大手住宅各社の業績は回復傾向にあり、住友林業も2010年度は増収増益を見込んでいる。住宅業界の経営環境は改善しているのか。

 09年度は悪過ぎた。リーマンショックの影響もあり、新設住宅建設は42年ぶりに100万戸を割り込み、78万戸まで落ち込んだ。今、住宅業界は住宅版エコポイントのほか、住宅ローン減税や金利引き下げなどの住宅支援政策という“追い風”を受けている。

 新設住宅着工件数も、対前年度で回復している。当社では10年度は83万戸、11年度は政府支援策の延長により、86万戸程度と見込んでいる。

 ただ、これは現状維持にすぎない。100万戸をコンスタントに超える時代は期待できないのではないか。世帯数もピークを迎えつつあり、(中長期的には)新築需要が減るのは間違いない

──今後も需要が低迷するなかで、どのように対応するのか。

 マス(量)の時代は終焉しつつある。省エネルギー性能や耐震性に優れた住宅のように、質への転換を図ることだ。特に、環境に対するお客様の意識は高まっている。こうした付加価値を加えることは、1棟当たりの単価と収益の向上につながる。わかりやすい例を挙げれば、新築住宅に対する太陽光発電システムの搭載比率は、当社のような木造住宅でも、10年9月時点で30%と対前年同月比で13ポイントも伸び、単価アップに貢献している。