「謝罪なし、抑制なし、恥知らず」。1月12日の英「インディペンデント」紙は1面に大きく、英大手銀行経営者を激しく非難した。RBS、ロイズ、バークレイズなどの大手銀行のトップは、昨年、ボーナスの受け取りを辞退した。今年は業績回復を受けて、高額の報酬を経営者、幹部社員に払う方針を示している大手行が増えている。それに対して、英世論は烈火のごとく怒っている。

 今回の景気後退の原因をつくったのは金融業界であり、一方で英政府が財政再建のために国民にとって過酷な緊縮政策を推し進めようとしているなか、銀行が多額のボーナスを支給することはおかしいという論調があちこちで見られる。感情論に近い論調も一部にあるが、「納得がいかない」という声は確かに多く聞かれる。キャメロン首相やオズボーン財務大臣も銀行経営者に高額報酬を思いとどまるように要請している。

「タイムズ」紙の社説(1月11日)は次のように述べた。チェルシーのミッドフィルダー、フランク・ランパードは1週間に10万ポンドの報酬を受けている。しかし、彼のような優秀なサッカー選手の高額サラリーは、バンカーのそれと異なって、不作法、不公正、モラルの堕落とは見なせない。なぜなら真に卓越した選手の数は限られており、代替できる人が少ない。その希少性あるプレーを見たくて人びとはカネを払っている。