少子高齢化に伴う労働人口の減少や企業のグローバル化など社会環境の大きな変化に伴い、「多様な人材、多様な働き方」の実現が求められ、多くの企業がワークスタイルの変革に取り組んでいる。それは、企業と社員との関係や生産性の向上にどのような変化をもたらすのか。ICTを活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である「テレワーク」の普及促進を進める日本テレワーク協会の中山洋之専務理事に聞いた。

着実に増えている
“柔軟な働き方”導入企業

nakayama日本テレワーク協会
中山洋之 専務理事

1980年、富士ゼロックスに入社。89年より米国・ニューヨーク駐在。94年、社長秘書、2002年よりグローバルアカウント営業部長として東京、上海、シンガポールに駐在しグローバルビジネスを展開。15年より現職。

 少子高齢化に伴い労働人口の構造は大きく変化した。企業は、多様な人材、多様な就労形態を受け入れる必要に迫られ、その過程ではワークライフバランスの実現が課題となっている。

 近年、製造業、金融業、サービス業などで大企業を中心に在宅勤務制度の導入が進んでいるが、その半面、国土交通省の調査※1では、終日在宅勤務者は増えていない。

 これはどういうことだろうか。日本テレワーク協会の中山洋之専務理事に実際のところを尋ねてみた。

 すると、「多様な人材、多様な働き方を実現するテレワークは、ワークスタイル変革に極めて有効な手段です。在宅勤務に関しても、最近は、終日在宅で働くことに加え、半日だけ在宅で勤務したり、一時的に仕事を抜けて育児や介護の時間をつくるなど、柔軟な勤務形態を許容する企業が増えています」という答えが返ってきた。

 政府の「働き方改革」の強い後押しもあり、社員の柔軟な働き方に対応した組織づくりに前向きに取り組む企業も増えてきているという。総務省の実施した調査※2でも、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスを利用した柔軟な勤務制度を導入している企業は、2014年の11.5%から15年にかけて16.2%に大幅に増加している。


※1 国土交通省「平成27年度テレワーク人口実態調査」による
※2 総務省「平成27年通信利用動向調査の結果」による