住宅は大きな買い物だけに、情報収集から、現地見学、住宅ローンの申請、契約……とさまざまなアクションが必要になる。どのような手順で購入を進めればよいか、また注意しなければならないことは何なのか、ポイントを整理してみた。

Step1
どんな物件が欲しいか理想像を家族で共有

  物件探しの前に、押さえておきたいのが、購入予算の設定と希望条件の整理だ。
  どんな優良物件を手に入れようと、住宅ローンの返済が家計を圧迫したのでは、本末転倒だ。また、子どもがいるなら塾費用や私立学校の授業料など、一人当たりで年間100万円を超える教育費がのちのち必要となる場合も珍しくない。預貯金のすべてを購入資金に回さず、失業や病気といったリスクに備えることも大切だ。

住宅購入までの流れを知る住宅購入までの流れを知る<br />――綿密な情報収集が後悔しない物件選びに

  現在の賃貸マンションの支払額と住宅ローンの返済額だけを比較して「払えるor払えない」を判断するのは避けるべきだ。今後予想される家族のライフイベントを考慮に入れて資金計画を立てよう。物件の購入費用以外にも、登記費用や税金、住宅ローンの保証料など、諸費用が必要となることにも注意したい。

  さらに、予算が決まっても、夫婦間で理想の住まい像に違いがあって当たり前。利便性、教育環境、間取りなど、希望条件の優先順位にコンセンサスを得ておかないと、物件探しの際に評価基準がブレて、なかなか決められない。

  ただ、理想の住まいを具体的に思い浮かべることは難しい。そこで近隣のモデルルームや住宅展示場を見学し、これはいいと思った設備や間取り、デザインの好みなどについて、夫婦間で意見を交わすのも手だろう。

Step2
インターネットなどで物件情報を収集 

 予算・希望条件が決まったら、いよいよ情報収集だ。希望のエリア・沿線で、予算・希望条件を満たす物件を、住宅情報サイトから検索しよう。

  ここで重要なのは、間取りについて柔軟に考えることだ。
たとえば、3LDKの間取りを希望する場合、検索条件に2LDKも加えて探すといい。理由は、2LDKという条件で引っかかる2SLDKの物件に、3LDKと実質的に変わらないものが多いからだ。

  Sは「サービスルーム」の略で、いわゆる納戸だが、通常の居室より狭いとは限らない。建築基準法では、床面積の5分の1以上の大きさの窓がない部屋を居室として認めていない。一定以上の採光を要件とすることにより、居住性を担保しているわけだ。しかし、寝室や書斎など、部屋の使い方次第では、採光は問題とならないこともある。

  マンションの場合、角部屋以外は壁面の多くが隣と接しているため、十分な窓の大きさを確保できない部屋が生じやすい。このため、隣の角部屋の3LDKと居住面積・間取りがほとんど変わらないのに、2SLDKと表示されるケースが多いのだ。3LDKと表示できないために買い手がつきにくく、実質3LDKの物件を割安で購入するチャンスとなる。ただし将来、売却を考えている人は、同じことが今度は自分の身に降りかかり、売却しづらいということも頭に入れておこう。