昨年のクリスマス、群馬県の児童相談所の玄関先に「伊達直人」の名前で寄付のランドセルが置かれたことをきっかけに、全国的に拡がった「タイガーマスク運動」。件数が多いため最近では報道されることも少なくなったが、今でも児童養護施設などに寄付の品が置かれる行為は続いているようだ。

 大不況、政治の混乱、鳥インフルエンザの発生など暗い話題ばかりのご時世に、数少ない心温まる話題である。

 今回はひとりのささやかな善意が共感を呼び、流行といっていい盛り上がりにつながったわけだが、こうした寄付や慈善活動を以前から行っている人たちがいることも忘れてはならない。スポーツ選手や競技の統括団体だ。

巨人・内海投手、阪神・赤星外野手…
成績を寄付に反映させるプロ野球選手たち

 元祖・伊達直人同様、児童養護施設にランドセルを、しかもそれ以前の09年春から贈り続けているのが巨人の内海哲也投手。春季キャンプの休日に宮崎の施設を訪問した際、ランドセル購入の補助金が自治体などから交付されないことを聞き、シーズン中の奪三振と同じ数を施設に贈呈することを決めた。09年は154個、10年は115個、今年は121個を贈るという。好成績をあげれば、より多くのランドセルを贈ることができ、笑顔を見せる子どもたちも増える。それを励みに投球しているそうだ。

 これはテレビ(1月16日の日本テレビ系「真相報道バンキシャ!」)で紹介されたのだが、競輪選手にも15年も前から児童養護施設にランドセルを贈り続けている人がいた。静岡のA級1班・小林宏年選手と大澤嘉文選手だ。タイガーマスク運動と同じことを、はるか昔から人知れず続けている人がいたのである。

 内海投手と同様に自分の残した成績を寄付に反映させ、それを励みにするという選手はプロ野球界に多い。阪神で活躍した赤星憲広外野手は盗塁数に応じて全国の施設や病院に車イスを寄付した。