焦る西友が本格参戦で大混戦<br />ネットスーパーの厳しい現実ネットスーパーでは、商品のピッキングや仕分けでコストがかかる(イオン津田沼店)
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 米ウォルマート傘下の西友がネットスーパー事業に本腰を入れ始めた。現在、首都圏の47店でサービスを実施しているが、今後2年で一気に全国350店に広げる。

 ネットスーパーでは、インターネットで欲しい商品を注文すれば、最短3時間で自宅に届く。水やコメなど重い商品の購入や、雨で外出が億劫なときなどには持ってこいの便利なサービスだ。

 高齢化の進展などで、今後の日本の小売り市場の中でも、ニーズの拡大が見込める数少ない市場の一つである。

 だが、ネットスーパーには大きな課題がある。

 もともと薄利のスーパー業態にあって、商品のピッキングや梱包、配送で、さらにコストがかさむため、黒字化させるのが至難の業なのである。

 たとえば、イトーヨーカ堂は、2001年にネットスーパーを始めているが、黒字化したのは09年度と、じつに8年もの歳月を費やしている。

 西友は、現時点でのネットスーパーの採算性について、明言を避けている。採算性が確立できていないまま、急拡大に踏み切った背景には、競合の動きに乗り遅れてはいけないという焦りがあったようだ。

 じつは、西友はネットスーパーの先駆けで、ヨーカ堂より1年早い2000年にネットスーパーを始めている。

 ところが、この2~3年で店舗網を一気に増やしたヨーカ堂(10年12月時点で133店)に対して、西友は47店にとどまっていた。さらに、西友の焦りに火をつけたのは、イオンだろう。

 西友やヨーカ堂よりだいぶ遅い08年4月にサービスを開始したと思いきや、一気に拡大し、今ではグループ129店で展開。ヨーカ堂と並ぶ勢力になっている。

 西友の本格参戦で、熱を帯びそうなネットスーパーだが、シェアの拡大と黒字化、この両方を達成させ、事業を継続するのは容易ではない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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