健康志向は人間に限ったことではない。日本国内でペットとして飼われている犬の45.8%、猫は37.8%が7歳以上(2009年:日本ペットフード協会調べ)で、平均寿命が12~14歳と高齢化・長寿化が進んでいる。それにともなって“ペットの健康”への関心が強くなっていて、ペットフードを選ぶ際、栄養バランスや低カロリーなど機能性を求める傾向が高くなっている。

 日本ヒルズ・コルゲート(東京都江東区)では、昨秋、新製品として「サイエンス・ダイエット シニア アドバンスド」を発売。科学的根拠に基づいた食事を特徴とする「サイエンス・ダイエット」は、シニア向けとしてドライ製品、缶詰製品、おやつ、超小型犬種用などバラエティ豊富にラインアップしているが、同製品は犬用が13歳以上、猫用が14歳以上と、超高齢化に対応したペットフードと言える。

 ペットも人間同様に、加齢とともに運動能力が低下してしまう。そこで、このような状況に着目した食事が同製品だ。軟骨の維持をサポートするとされるグルコサミンやコンドロイチン硫酸、活発な運動能力の維持に役立つとされるオメガ3脂肪酸を配合している。犬用にはEPA(エイコサペンタエン酸)が入って1kg/1712円~、猫用はDHA(ドコサヘキサエン酸)入りで1kg/1817円~(いずれも希望小売価格)と高額だが、滑り出しは順調だという。

 日本ペットフード協会の調べによると、ペットフードの市場規模は流通量ベースでは、じわじわと右肩下がりに。小型犬種の人気傾向や、ペットを飼いたいという気持ちはあるものの、住居環境や経済的に許さず、飼うことを躊躇しているといったことが要因にあるようだ。

 一方で、ペットを飼っている人は、ペットを家族の一員として考え、ペットフードはもちろん、ペット関連グッズやサービスにお金を惜しまずかける。「より体に良いものを食べさせてやりたいという愛犬家、愛猫家が、7歳を境に今まで以上にペットの健康を意識するようになっている」と、日本ヒルズ・コルゲート広報・法規本部、郭潔穎氏。そのためか、金額ベースでは約2700億円(08年度)で、微増している。「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が09年に施行され、ペットフードの安全性に対する関心が寄せられるようになったことも、多少高くても安全・安心なものを与えたいという流れを後押ししているようだ。

 ペットショップだけではなく、ドラッグストアなどセルフの小売店舗でもペット関連のコーナーを設けているところは少なくないが、ペットフードブランドを一通りラインアップしているにとどまっている感がある。

 郊外立地なら大型犬から小型犬まで幅広くラインアップし、都市部なら小型犬、室内飼いへの配慮といった、立地ごとのニーズを踏まえつつ、ペットの健康や美容という切り口で売場を編集することで、競合店に一歩先んじることができるのではないだろうか?


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