各種調査から、新しい顧客の姿が見えてきた!

 2010年の夏以降、テレビのバラエティ番組などで巨大HCが取り上げられる機会が増えてきた。有名タレント数名が登場するとはいえ、HCでの買い物シーンだけで1時間番組として放映されたこともある。頻繁に登場するあるHCの広報担当者によれば「取材を申し込まれる際、番組制作の方は必ず『いま、HCは旬。女性からの関心も高く、HCを取り上げると数字(視聴率)が取れる』と切り出してくる」という。

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 バラエティ番組でHCが注目されたのとほぼ同時期に、インターネット調査会社マイボイスコムでは「HCに関するアンケート調査」(10年10月実施、回答者数約1万2000名)を行っている。その結果によれば、HCの利用頻度で最も多いのが「月に1回」(図表1参照)だが、「月に数回利用」する層も30%以上に上る。また、購入・利用した商品・サービスでは(図表2参照)、上位から「生活用品」、「園芸・ガーデニング用品」、「文具・事務用品」、「家具・収納用品」、「花・植物」となっており、同社の分析では、「家具・収納用品」「花・植物」「生活用品」などはとくに女性の回答が多かったとしている。

 HCを利用する際に重視する点も聞いており、「品揃えが豊富」「価格が手ごろ」「便利な場所にある」が上位に並ぶ。興味深い結果となったのが、最もよく利用するHCと、そのHCに対する満足度の関係だ。前者では「コーナン」「ケーヨー」「カインズ」「東急ハンズ」「ホーマック」が上位にくるのに対し、満足度では「ジョイフル本田」「カインズ」「ホームセンタームサシ」「東急ハンズ」「ホーマック」の順になっている。満足度が高いからそのHCをよく利用するということではないらしい。

 サービス産業生産性協議会(代表幹事:牛尾治朗・ウシオ電機(14)代表取締役会長)では、2010年より、日本の主なサービス業30業界300社以上を対象に「JCSI(日本版顧客満足度指数)」を公表している。それぞれの企業のサービスを実際に利用したことのある人に、「顧客期待」(事前の印象や期待)、「知覚品質」(利用した際の品質への評価)、「知覚価値」(品質と価格からのコストパフォーマンス)、「顧客満足」、「クチコミ」(サービスの内容を肯定的に人に伝えるか)、「ロイヤルティ」(今後も使い続けたいか)という6つの項目からなる質問を行い、その結果を指数化したものだ。HC業界の直近の結果()を見ると、「価格への納得感(コストパフォーマンス)」を重視する傾向が、他業界に比べてやや強いことが明らかとなった。

 また利用者属性の特徴として「購入する商品によって複数のHCを使い分けている」点が挙げられている。今後のHC業界の顧客満足度の質向上のためには「『他店にない商品サービス』『商品サービスの価格表示・説明』などを重視して対応を進めることが効果的ではないか」(同事務局)という。

 主要HCの12月月次業績によれば、5社が既存店ベースの売上高で3ヵ月連続して前年同月比を上回るなど、業績の持ち直しが見て取れるようになった。冒頭で取り上げたHCでも「8月のオンエア後、客数、売上ともに、間違いなく増え続けている」という。番組サイドが言うほど、女性客の変化はないというものの「これまでわれわれHCをディスカウントストアのように生活用品が安く買える店としか見てこなかった方が、番組をご覧になり、『いろいろなものがあり、楽しく買い物できる空間』と気づいてくれたのではないか」(HC広報担当者)という見方もある。もし、これが正鵠を射たものだとすれば、注目されているいまこそ、新しい顧客に向けて、顧客満足度の質向上をめざすべきではないだろうか。HCの“旬”はそういつまでも続かない。

*2010年1月から2月にかけて実施。対象企業は、カインズ、コーナン、コメリ、ナフコ、ホーマック、ケーヨー、カーマ

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住宅エコポイント制度の導入により、生活者のリフォームに対する関心が高まりをみせています。以前からリフォーム部門を強化していたホームセンター(HC)でも、売上や客数においてその効果が表れているようです。しかし、エコポイント特需を狙い、リフォームへの取り組みを強化しているのはHCだけではありません。平成21年には新設住宅着工戸数が80万戸を切り、今後は新築需要の大きな拡大は見込めないため、ハウスメーカーやエリアに根を張る工務店もリフォームを重視しつつあり、競争は厳しくなっています。
こうした状況の中、顕在化してきた生活者のリフォーム需要を取り込むために、営業体制や商品政策の見直しを図るHCもでてきました。競合が増える中、住生活関連に強みを発揮してきたHCの真価が問われているといえるでしょう。第1特集「正念場のHCリフォーム戦略」では、こうしたHCの新しい動きについて取り上げていました。
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