中国では土地管理法の改正で、農地転用に対する厳格な制限が、少しだけ緩和されそうだ。日本ではほとんど注目されていないが、この改革は中国の土地政策に、大きな変化をもたらす可能性がある。(在北京ジャーナリスト 陳言)

中国、農地「転用」緩和の大変革で何が起こるか中国の農地は、簡単には宅地に転用できず、都市部の土地のように市場取引もできない

 中国の「土地バブル」が叫ばれるようになって久しい。ほぼすべての都市で、見かけるのは高層ビルばかりで、二階建てや三階建ての建物はほとんど見ない。

 あれほど広大な国土を持ちながら、なぜ住宅用の土地が足りないのか。農地を宅地にすればいいではないかと思うだろうが、そう簡単にはいかない。農地も足りないからだ。13億の民を食わせるためには、どうしても18億畝(1.2億ヘクタール)の土地が必要であり、農業用地は簡単に宅地に転換できないこととなっている。また、そもそも農村の土地は、都市部の土地とは所有権の形態が異なる上、市場で取引することもできない。

 しかし、その土地転用に対する厳格な制限が、少しだけ緩和されそうだ。新華社は2016年12月25日、次のように報じた。同日に開かれる第12回全国人民代表大会(全人代)常務委員会の立法計画に土地管理法改正が盛り込まれ、「農村の土地と国有地は、都市部の土地と同等の市場参入、同価同権ではあり得ないという問題が解決される見通し」と。

 この改革は中国の土地政策に、大きな変化をもたらすことになるだろう。

収用補償額と土地譲渡金額の
巨額の差額がもたらす矛盾

 中国の土地は国家所有と集団所有の2種類に分けられる。農村の土地は農民の集団所有である。中国の都市化の急速な進展に伴って、過去30年余の間に、農村の「土地収用」はほぼ毎日、全国各地で大量に起こってきたが、この土地収用とは、元来、「農民の集団所有だった土地を国有地として収用する行為」を指している。