習近平が新年に掲げた貧困撲滅と党改革はどこまで本気か急速な発展の陰で厳然と残る貧困問題。習近平政権は昨年、全国の貧困人口を1000万人減らしたが、現在も農村の貧困人口は5575万人に上っている

 成立5年目を迎える習近平政権。毛沢東時代の「人民に奉仕する」というよき伝統を復活すべく、反腐敗運動で腐敗に手を染めた党員・幹部を次々と排除し、党内の引き締めを行い、国内の改革でも一定の成果をおさめた習総書記は、昨年10月に開かれた中国共産党第18期中央委員会第六回全体会議(以下、第18期六中全会と略)で「核心」の地位に就いて二期目に突入しようとしている。

 今後の中国共産党はどこへ向かうのか。それを見る手掛かりのひとつとして昨年12月31日に習総書記が全国民に向けて発表した新年のメッセージがある。ここではそのメッセージから今年の習政権を展望してみたい。

「中国の夢」は実現が近い?
技術革新と国民生活の向上を強調

 習総書記が発表したメッセージは1000字余りの短いものであり、そこにはその年の成果と今年の展望について述べられている。

 メッセージで挙げられている2016年の成果は、供給側の構造改革が重要な一歩を踏み出したことや司法改革の深化、軍隊・国防改革で大きな成果をあげたこと、党内の「政治生態(政治環境)」の浄化といった成果のほかに、暗黒物質粒子探査衛星である「悟空」号が軌道上を1年間飛行、神舟11号と天宮2号が銀河を遊弋(ゆうよく)したことや、多くの貧困地域の子どもたちの進学条件が改善されたこと、多くの大衆が自分のかかりつけ医をもつようになったこと、長く戸籍のなかった一部の人の戸籍が登録されたことなど、宇宙開発と国民生活の向上に資する政策面での成果の言及が多かった。

 ここに挙げた成果をみると、中国が技術面で先進国のレベルに近づきつつある一方で、人々の暮らしも豊かな国になりつつあり、習総書記が就任直後に語った、国家の富強、民族の興隆、人民の幸福を目指す「中国の夢」の実現にまた一歩近づいていることをアピールしているように思える。