武田薬品工業、ロート製薬が昨年12月、女性が妊娠しやすいとされる排卵日の予測検査薬のスイッチOTC医薬品(第1類医薬品)を相次ぎ発売し、妊娠を望む女性らの注目を集めている。妊娠したかどうかを自宅で簡単にチェックできる妊娠検査薬以来、検査薬として二十数年ぶりの医療用からのOTC化だ。

 スイッチOTCとは調剤薬局でしか購入できなかった医療用医薬品を、厚生労働省の承認を経て、ドラッグストアなどで購入できる一般用に転用したものだ。

排卵日検査薬、妊活女性人気の陰に潜む“裏目的”武田薬品が販売する「ハイテスターH」。ラインの本数で判定できる分かりやすさが特長 Photo by Masataka Tsuchimoto

 武田薬品(ミズホメディー製造)の「ハイテスターH」(5回分の場合、希望小売価格税抜き2580円)、ロート製薬の「ドゥーテストLHa」(7回分、同2700円)共に、排卵日を約1日前に予測できるもの。排卵前に分泌量が急増する尿中の黄体形成ホルモン(LH)濃度を検出し、排卵日を予測する仕組みだ。

 近年の晩婚化などの影響で「妊活」がブームだ。武田薬品が2016年4月、子供のいない25~39歳の既婚女性1029人に調査した結果、子供が欲しい人は約7割、その約半数が妊活中だった。また妊活女性の悩みの上位に排卵日把握の苦労が挙がる一方、約7割が検査薬の存在を知らなかった。

 OTC化によって医療用医薬品では規制されていたテレビCMや店頭プロモーションを自由にできるため、両社は潜在的な需要の掘り起こしに期待する。購入時に店員らと対面する必要がないインターネット販売もスタート。ある販売サイトでは売れ筋トップ10入りしたり、別のサイトでは入荷待ち状態になったりした。