仕事の生産性は「ビジネス思考法」を知っているかどうかで大きく差がつきます。本連載ではクリティカル・シンキング、問題発見・解決、アイデア発想、自己啓発などの分野から「ビジネス思考法」を45個厳選した『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』から、そのエッセンスを紹介します。第1回はトランプ大統領の就任後の行動をビジネス思考法で分析したら、がテーマです。

トランプ大統領を
ビジネス思考法で分析してみた

さて、1月20日よりアメリカではトランプ政権がいよいよ本格的に始動しました。すでにいくつか公約に掲げた内容について大統領令を発令しています。主だったものとしては以下が挙げられます。

・オバマケアの廃止
・TPPからの脱退
・メキシコ国境間の壁の建設
・テロ対象国からの移民禁止

このうち、テロ対象国とされたシリアやイラクなど7ヵ国からの移民・難民受け入れ制限については、それに反対の態度を示したサリー・イエーツ司法長官代行をただちに解任するという強引な動きも見せています(ただし、シアトル連邦地裁は、大統領令の効力を停止する仮処分決定を下し、状況は混沌としています)。

公約を守るという観点で見れば正しいことをしているようにも見えますが、そもそもその公約自体、大統領選の段階から多くの批判を浴びてきました。

本稿では、他国の最高指導者に対して僭越ではあるものの、トランプ大統領の思考法の弱点について考察してみましょう。

さて、思考法(あるいは思考の性向)といっても世の中にはいろいろなものがあります。論理的思考(ロジカル・シンキング)批判的思考(クリティカル・シンキング)システムズ・シンキング仮説思考クリエイティブ・シンキング戦略的思考歴史的思考ポジティブ・シンキング等々。

これらすべてを実現/実行できいている人間は極めて稀ですから、トランプ大統領がすべてをマスターしていないからと言って、それ自体は仕方がありません。しかし、世界に最も影響を与えるアメリカ大統領である以上、「これだけはある程度は的確に実行してほしい」という思考法があるのも事実です。

大統領ですから本人にそれほどのクリエイティビティが必要かと言われればそんなことはないかもしれません。しかし、少なくとも論理的思考批判的思考システムズ・シンキングのような大事な思考法は持っておいてほしいと思われます。