賛否の立場を超えて、政府の「地球温暖化対策基本法案」の策定姿勢に対する不安と不満が広がり始めた。

 問題は、鳩山由紀夫首相が施政方針演説で策定方針を示したほどの重要法案であるにもかかわらず、そのプロセスや内容がきちんと公表されていない点にある。

 加えて内容も、閣僚や関係議員で構成する「環境省政策会議」に提出された政府の資料を見る限り、わが国が主体的に目指す目標のない“欠陥法案”らしい。

 ところが、具体策では、強制的に国民全体に重い負担を課す恐れのある施策を始め、一部の人だけが得をする施策、それだけではCO2の排出には役立たない施策などの愚策をズラリと並べて、一部を時限を切って強引に前倒しでスタートさせようと目論んでいるという。

 そもそも世界では今、過去の地球温暖化研究が不都合なデータを無視するなど信頼性に欠けるものだった可能性があるという報道が相次ぎ、あえて今、地球温暖化問題に取り組むべきかどうか疑問視する向きもある。

 ここは、国民として、納税者として、どうみても戦略性が欠如している政府に対して、冷静に立ち止まってゼロから再考するように迫るべきではないだろうか。

25%削減に賛成したのは
国民全体のわずか9%

 本論に入る前にまず、政府が昨年12月に国民全体を対象に実施した「地球温暖化対策の基本法の制定に向けた意見募集」の概要を説明したい。ニュースソースは、政府が前述の環境政策会議を1月14日に開き、連立与党議員らに対して示した資料で、パーセンテージはそれをもとに計算した。

 それによると、今回の法案で、麻生太郎前政権が掲げた「温室効果ガスを2020年までに15%削減する」という中期目標を「25%」に引き上げて明記することについて、回答が1376件あり、このうちの86%の人が何らかの形で「反対」か「懸念」という回答をした。

 その内訳を記すと、「すべての主要国が意欲的に取り組むという前提の確保が明確でない」という理由をあげている人が37%、「経済・雇用への影響が不明確」なことを懸念している人が36%、「日本だけが突出すると産業の国際競争力が低下し、空洞化を招く」と反対した人が13%だった。