三菱電機と三菱電機ビルテクノサービスは、リニューアル工事期間中でもエレベーターが利用できる新商品「Elemotion+[ZERO]」を発売した。リニューアル後は安全性や使いやすさも向上、消費電力はリニューアル前より約10%削減※1されるなど、生活基盤としてのエレベーターをよく知る故の技術開発力で、利用者の満足度をアップさせる。

使えることが
当たり前の生活基盤

三菱電機ビルテクノサービス 昇降機保守事業本部 モダニゼーション推進部
販売推進グループグループリーダー
川上重信

 エレベーターのリニューアルに際し、最大の課題はエレベーターを使えない状態が何日も続くことだった。工事が始まると、新しい機器に入れ替わるまでの間、作業をしていない時間帯であっても停止したままで、日中も夜間も使えなくなる。

「マンションや病院、事務所ビルなど、毎日多くの人が利用する建物では、エレベーターが使えない状態が続くと業務に支障を来すこともあります。また、高層階に住むご高齢の方にとって、エレベーターの停止は死活問題です。マンションやビルのオーナーの方々や多くのマンション管理組合がリニューアルを先送りしがちな理由は、そこにあったのです」

 そう説明するのは、三菱電機ビルテクノサービス昇降機保守事業本部の川上重信氏だ。

「当たり前」に応えた
ハイブリッド制御盤技術

三菱電機 稲沢製作所 開発部 応用システム開発課
専任
奥田清治

 2016年12月に発売された「Elemotion+[ZERO](エレモーション・プラス[ゼロ])」の最大の特徴は、その課題を克服したことにある。作業をしていない時間帯のエレベーターの利用を可能にし、連続停止期間のゼロ日化を実現したのだ。

 その要となる技術が「ハイブリッド制御盤」。開発を担当した三菱電機開発部の奥田清治氏はこう説明する。

「ハイブリッド制御盤は、新旧双方の巻上機や操作盤を制御することができます。新しい機器と既設の機器ではデータ通信方法が異なるため、新しい制御盤では既設の機器を制御できなくなります。そこで、既設の通信方法に対応できる技術を搭載した制御盤を開発し、既設の機器でもコントロールできるようにしました。

 また、リニューアルの工事工程を効率的に分割し、断続的な作業ができるようにしました。その結果、新旧の機器が混在する工事期間中でも、作業をしていない時間帯はエレベーターを利用できるようにしたのです」

工事中でも暮らしに合わせてエレベーターが使えるElemotion+[ZERO]
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 全ての機器を交換し終わるまで連続停止させる必要がなくなり、部分的に機器を交換していくので、マンションでは利用者が多い通勤や通学など朝晩の時間帯や休日、また飲食テナントビルでは夕方や夜の営業時間帯にエレベーターを使えるようにし、利用者が少ない時間帯に工事を行う。

 病院など、エレベーターの連続停止期間を設けるのが難しい施設や一般の事務所ビルなどでは、休診日や週末にのみ工事を行うこともできる。

※1 既設エレベーターGRANDEE(グランディ)との比較において。