世界唯一の「デジタル商社」を日本で始めた理由

 昨年4月に、「BCGデジタルベンチャーズ(BCGDV)」の拠点を東京に立ち上げてから、早いもので約1年が経過しました。前回の連載の最終回でも触れましたが、今回からこのBCGDVの事業やビジネスメソッド、デジタルビジネスの最新事例などを紹介する連載を始めさせていただきます。

 さて、「BCGDVって何の会社ですか?」とほとんどの方が思われたことだと思います。その社名からもわかるように、デジタルビジネスに特化した組織なのですが、経営コンサルティングファームであるBCGがなぜデジタル関連の子会社を立ち上げたのか、疑問に思われた方もいるかもしれません。

 GoogleやUberを始め、斬新なビジネスモデルによって、世界的なインパクトを生みだしてきた企業の多くがデジタル分野を制した企業であること、そしてもともとは社員数名のスタートアップやベンチャーであったことはご存じの通りです。現在、デジタル戦略が企業にとっての最重要課題の1つであることに異論はないでしょう。

 一方、GoogleやUberに匹敵するほどのインパクトのあるグローバル規模でのデジタルサービスが日本から続々と誕生しているかというと、残念ながら答えはノーです。デジタル分野において、アメリカや中国と、日本との差が現在進行形で開いていくばかりなのは、もはや無視できない事実です。

 今、日本の産業界から、なぜGoogleのような企業が生まれにくいのか。スタートアップやベンチャー企業が育たず、デジタル分野で大きな遅れを取るようになった現況を打破するにはどうすればいいのか。

 この連載では、BCGDVならではのビジネスメソッドの紹介や最先端のデジタルビジネス事例について考えることを通して、日本の企業が抱える問題点や課題を明らかにし、解決策を探るためのヒントを提供できればと思っています。さて、今回はまず、BCGDVがどのような組織なのか、そして、その特徴についてお話したいと思います。