ソニーが個人情報大量流出事件で抱え込んだ<br />ビジネスリスクの正体と信頼回復までの長い道のり個人情報流出問題で5月1日の日曜日に会見に臨んだソニーグループ首脳陣。写真中央が、ソニー・コンピュータエンタテインメント社長兼グループCEOを兼務するソニーの平井一夫副社長。

 ソニーは、同社のインターネットサービスへのハッカーによる不正侵入で7700万件の個人情報が流出した恐れがある問題で、今月1日に平井一夫同社副社長が会見を開き、これまでの経緯と今後の方針について説明した。

 平井副社長は会見冒頭「利用者の皆様には多大な不安とご迷惑をおかけしていることを、深くおわびする。大変申し訳ございませんでした」と陳謝。同社のゲーム機を使ったオンライン対戦など停止中のサービスの一部を1週間以内に再開し、5月末までに全面再開すると発表した。

 今回の事件は7700万件というあまりにも膨大な個人情報の数に対する驚きと、不正侵入行為に対する興味関心がひとり歩きしているが、じつは家庭用ゲーム業界に与える影響も深刻だ。すでに「短期間に収束は難しく、プラットフォーム選択についての長期的な戦略変更を余儀なくされるかも知れない」(メーカー経営幹部)という声もあり、業界内の緊張も高まっている。

最高情報管理者も暗に認めた、
世界59カ国で遊ばれている割にはずさんな子会社の情報管理

ソニーが個人情報大量流出事件で抱え込んだ<br />ビジネスリスクの正体と信頼回復までの長い道のり会見で示された個人情報流出に至るまでの状況

 今回、ハッカーが不正侵入をしたインターネットサービスは、同社の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」を使った情報サービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」と、世界11カ国で展開中のビデオ・音楽の配信サービス「キュリオシティ(Qriocity)」だ。会見では、高度な技術を持ったサイバーテロ行為であったとし(ハッカーによる漏洩に至るまでの状況は図参照)、すでに米国連邦捜査局に捜査を依頼したことも明らかになっている。

 PSNに登録されたアカウント数は7700万。このアカウントにひもづいている、氏名、性別、郵便番号および市町村名までの住所、国名、メールアドレス、IDとハッシュ化されたパスワードが漏洩している。ただしここで注意したいのは、この7700万件“アカウント”の意味だ。ソニーによれば、ひとりで複数のアカウントを持っているケースもあり、イコール人数ではないと言う。