「腰のだるさ・しびれ」は歩行困難の予兆かもしれない少しの距離でも歩きづらく、ベンチで休憩を取りながら過ごしていませんか?

 腰部脊柱管狭窄症をご存じだろうか?「ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう」と読むこの病気、字面から腰のあたりの脊柱管が狭くなっているのだろうと想像はつくものの、脊柱管とは何か?それが狭くなると何が良くないのか?わからない人も多いだろう。

 実際に腰部脊柱管狭窄症と診断を受けている人は約65万人だが、推定患者数は240万人ともいわれる。患者数が多く、メディアでもよく取り上げられるわりに認知度が低く思えるのは、病名の読みにくさもあるだろうが、後述のように痛みを伴わない場合もある症状や、患者が高年齢層に集中していることも関係するのかもしれない。

腰痛がないケースも多く
治療開始が遅れることも

 この病気の代表的な症状のひとつが「長い距離を続けて歩くことができない」ことで、その結果、歩行と休息を繰り返さざるをえない「間歇性跛行」(かんけつせいはこう)が見られる。

 腰痛はあまり強くなく、ほとんど感じない人もいる。安静にしている際には症状がないが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、ももや膝から下にしびれやだるさ、痛みが出て歩きづらくなる。この場合、前かがみになったり腰かけたりすると症状は軽減される。高齢者に前かがみで歩く人が見受けられるが、この病気で苦しんでいる場合も多いはずだ。

 腰部の病気の症状といえば「腰痛」をまず思い浮かべるが、腰部脊柱管狭窄症では先述のように腰痛が軽いか、感じない場合も珍しくない。その他の症状も姿勢を変えたり腰かければラクになる。よって多くの人が病院に行かず、以前より歩けなくなったのは「年齢のせいだ」「運動不足のせいだ」で片付けてしまうのが、診断を受けていない患者が多い理由のひとつだろう。