新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介していきます。記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。

「知識の記憶」を「経験の記憶」に書き換える

 クラスの中で抜群に成績がよい人っていますよね。

 勉強でわからないところを、そういう成績のよい人に教えてもらったことはありますか?

 たぶんその人は、丁寧に教えてくれたのではないでしょうか。

 優秀な人ほど、丁寧にしっかりと教えてくれる傾向があるのですが、それには相応の理由があるのです。

 自分の持っている知識をアウトプットすることによって記憶を強化するには、自分の勉強した内容を人に説明する、もしくは教えることがベストなのです。

 脳は知識の記憶は苦手なのに対して、実際に経験、体験したことを記憶するのは得意であるということを(連載第4回)に紹介しました。だからこそ「思い出」は長く記憶に残るのだと。

 そこで、「人に教える」というアウトプットをすることにより、「これは〇〇君に説明したところだ」「ここは勘違いして覚えていたのを逆に教えてもらった内容だ」などというように、「知識の記憶」を「経験の記憶」に書き換えることができるのです。

 そもそも自分自身で本当にその内容を理解していないと、相手に理解してもらうことは困難です。そこで教えた相手の反応で、その時点での自分の習熟度も測ることができるのです。

 さらに、人に教えること以外にも大事なアウトプットがあります。

 それが自己確認の作業です。

 自己確認とは、本番までに行う知識の確認です。

 前回(連載第12回)、自分では覚えているつもりの内容を試験で答えられなかったという例を挙げました。

 その瞬間は嫌な気持ちになったでしょうが、見方を変えると、その苦い経験も長い目で見れば、その時点でのレベルの確認ができたいい機会だったと考えられるのです。

 つまり、その苦い経験も勉強に関する記憶にとってはいい思い出となったわけです。

 次の試験では、この経験の記憶があるために同じ問題が出れば必ず答えられるでしょう。

 本番前に行う自己確認は自分で過去問を解くのでも、友人と問題を出し合うのでも構いません。各団体が主催する模擬テストを受けるのもよいでしょう。

 とにかく、自分の知識をアウトプットして確認できる機会を持つことです。

 この確認の機会がないまま勉強を進めると、知識は豊富にあるけれど、本番の試験のときに初めて、その知識を使いこなせないことに気づくということもありうるのです。

 それまで覚えたものを本番の試験できちんと答えられるようにするために、定期的にアウトプットの自己確認をする方法があります。

 この方法であれば、「頭の中の確認」と「記憶の強化」を同時に行うことができます

なぜ「知識」が「思い出」に変わると記憶力が上がるのか?