首相に強いリーダーシップは必要か
国民を希望的な方向へ導くためには

 震災支援と原発処理を混迷させた菅総理大臣に決定的に欠けているのは、強いリーダーシップだと言われています。おそらくメディアは、菅総理辞任後の次の総理に求められる資質も、この強いリーダーシップだと伝えるでしょう。

 総理のリーダーシップには、ある一つの方向に国民を導いていくことが、求められます。ただし、その方向はどこでもいいというわけではありません。おそらく「こうすれば大丈夫」という安心感や希望を与える方向でしょう。

 しかし、現在のような状況下で、国民を希望的な方向へと導くことができるでしょうか。無理にでも安心感を与えるような方向に導こうとするならば、ネガティブな情報を開示していくことが難しくなる恐れがあります。

「皆さん、日本の未来は大丈夫です。私の言うことを信じてください」

 こう宣言するリーダーが恐らく強いリーダーでしょう。

 しかし、強いリーダーは、楽観できない情報をきちんと開示してくれるでしょうか。

強いリーダーシップと情報の隠蔽は結びつく
バッドニュースを伝えるのもリーダーの責務

 震災以後、多くの国民は真実を伝えてほしいと言っています。

 しかし、真実を伝えようとすると、リーダーは悲観的なことも言わざるを得ません。

 細野首相補佐官は、5月2日の会見でSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)のシミュレーションの公開が遅れたことについて、こんな発言をしました。

「そうしたものをすべて公開することによって、社会全体にパニックが起こることを懸念したというのが実態であります」

 パニックを防ぐ。情報を隠蔽した人たちの格好の言い訳です。