復興構想会議(五百旗頭真議長)は、今月の25日に、東日本大震災に対する復興のグランドデザイン(第1次提言案)を正式決定して、菅首相に答申する運びとなっている。その提言案のポイントは、新聞報道(2011.6.19朝日朝刊)によれば、次のようになっている模様だ。

1.復興財源は臨時増税措置として基幹税を中心に多角的に検討。臨時増税では地方の復興財源も確保する

2.区域や期間を限定し、規制や権限の特例、手続きの簡素化など支援措置を一元的かつ迅速に行える特区的手法を活用する

3.再生可能な自然エネルギーの導入を促進。被災地の東北地方で利用拡大を図り、特に原発事故のあった福島を「先駆けの地」とする

4.原子力災害に絞った復興再生のための協議の場の設置検討

5.復興の主体は住民に最も身近な市町村が基本

「特区的手法の活用」ではもの足りない

 一読した限りでは、報道された提言案は、復興の大きな方向やコンセプションを指し示すものとして見れば、概ね妥当であるようにも思われる。筆者がこのコラム(2011.5.10)で指摘したこの国の3つの構造問題(少子高齢化、財政の悪化、競争力の強化)の解決の方向と、提言案のベクトルが同じような方向を示しているように読めないわけでもない。

 ただし、この提言案は、全体の表現があまりにも抽象的であって、グランドデザインとしては今ひとつもの足りないと感じるのは筆者だけだろうか。これでは、仮にこの提言通りに復興を進めるとしても、解釈の余地がとてつもなく大きくなり、利害関係者の間で細部の協議を重ねるうちに、当初の意図した改革がなし崩し的に骨抜きにされてしまう懸念なしとしない。