20日の米大統領就任式まで、残された日々はあとわずか。オバマ新政権登場がいよいよ秒読み段階を迎えている。

 今、世界が何よりも熱い期待を抱いているのは、このオバマ新大統領が11月の当選後の政権移行準備期間に矢継ぎ早に打ち出してきた「2年間で最大7750億ドル(約72兆円)」という経済・景気対策と、それによって生み出すとしている300万人の雇用拡大だ。実現すれば、世界経済の縮小にも一定の歯止めがかかる可能性があるからだ。

 その具体策として、これまで米メディアが報じてきたのは、2年間で3000億ドル(約28兆円)の規模の減税や、道路のリノベーションという日本では過去の遺物と見なされている伝統的な公共事業、そしてブッシュ政権がおざなりにしてきた環境関連の低炭素ビジネスの拡大戦略の3つである。

 ところが、年明けになって、オバマ新大統領の政権移行チームが、これらとは別に、収集を急いでいる情報の中身が次第に明らかになってきた。筆者の取材でも、オバマ新大統領の経済チームが、意外な柱を検討していることが裏付けられた。その柱とは、2000年のIT(情報通信)バブル崩壊以来、戦略的な政策が構築されることがなかったインターネット戦略である。背後のマイクロソフトやグーグルの動きも見逃せない。

オバマ政権移行チームが
日本のブロードバンド状況を調査

 記事の本数、手数を見る限り、日本の新聞・テレビも、オバマ新政権の経済・雇用政策を巡る旺盛な報道を行っている。

 年初からのニュースをみても、オバマ新大統領自身が3日のラジオ・インターネット演説で「去年200万人弱の雇用が失われただけでなく、今年はさらに何百万人もの雇用が失われかない」と危機感を示し「300万人の雇用創出に取り組む」との考えを表明したことを始め、5日に経済政策について議会主導部と本格的な協議を開始したこと、6日に2009会計年度(2008年10月-2009年9月)の米財政赤字が1兆ドル(約93兆円)規模に膨らむとの見通しを示したことが報じられている。

 さらには、オバマ氏が7日の記者会見で、経済対策のために財政赤字の拡大が避けられないとはいえ、財政規律をないがしろにする気はなく、「財政の効率化が必要だ」と強調したこと。そして、その場で、ナンシー・キルファー元財務次官補を予算合理化の最高責任者として指名したことなども報道された。

 ただ、現段階では、なかなか具体的な施策の中身まで踏み込んだ報道がないのが実情だ。政権移行チームが政策作りを急いでいる段階で、米国のメディアでさえ詳細を予見できないでいるのだから、日本のメディアとしては無理からぬことではある。