ピーター・ドラッカー教授の奥様である、ドリス・ドラッカー夫人が、2011年6月14日、100歳の誕生日を迎えられた。いまなお毎週テニスを楽しみ、自身の会社を経営し、時折、海外出張にも出かけるという、エネルギッシュでウィットに富んだ女性である。その元気の源、人生を楽しむ秘訣を伺った。(取材・翻訳 瀧口範子)

 誕生日が来るたびに、前回の誕生日(つまり1年前)に立てた目標――自分の生活をこのように向上させようとか、世の中にどう役立ちたいかなど――が、ちゃんと達成できなかったことを思い知らされます。

 若い頃は、歳をとると視野が狭まっていくとは、思いもよらないでしょう。しかし、誕生日も100回目となると、以前立てた計画が否応にも守れなくなることを、痛感せずにはおられません。

 ドラッカー家では、過去ほぼ50年間にわたって、毎年、夏をロッキー山脈の山小屋で過ごしてきました。

 夏でも、そこは雪を頂いた標高4000メートル級の山々に囲まれ、空はくっきりと晴れ渡り、太陽に照らされた松の香りが漂い、高山草原の花が咲きほこり、すばらしいものでした。われわれは馬乗りや山登り、魚釣りをしたりして、のどかに過ごしました。

 夏が終わりに近づくと、くねった山道を車で降りて、帰路につきます。低地に降りると後ろを振り返り、地平線に山頂が隠れていくのを悲しく思ったものです。

「まだ登っていない山頂がたくさんある」と、私は自分に言い聞かせていました。「でも来年はきっと」と。

 そして、これは100歳の誕生日を迎えた今でも、私のモットーでもあるのです。

 人生を楽しむ秘訣は何か。

 私は、インターネットで見つけた、スコットランドの作家、ミラー・H・カルドウェルによる祈りを指針にしています。以下にご紹介しましょう。