部下を正しく評価するには?

「部下の評価」はリーダーの重要な仕事です。コンサルタントとして多くの社長を見てきた経験から言える「評価の罠」は、近くにいる人をいい意味でも悪い意味でも過大評価してしまうことです。

「近くにいる目立つ部下」ばかり評価する経営者の罠小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 会社の規模が小さいうちは社員全員に目を配ることができますが、社員が50人、100人、200人とだんだん大きくなると目が届きにくくなり、近くにいて目立つ人を評価して昇進させ、近くにいて反発する人を左遷してしまいがちです。

 社長も人間なので仕方のないことですが、やはり近くにいる人も遠くにいる人も客観的に見える仕組み、正しく評価できる仕組みを作っておかなければなりません。

 余談ですが、松下幸之助さんは松下電器が大企業になっても新入社員とできるだけ多く会っていたそうです。そうした面談は巨大会社の社長ですから、人事部長に任せても誰も文句を言わないはずですが、それを続けていたという姿勢が大事です。やはり大成功する人は、いろんなところで「一歩踏み込む」ことができるのですね。

 中小企業であれば新入社員に限らず、会おうと思えば誰とでも会えるのですから、遠くの人は見えにくいという言い訳は通じません。

 さらには、面談だけでなく、日報や月報、目標設定シートなど、定期的に各人が思っていることや目標を文書で出せる仕組みも有効です。ただし、それをトップがきちんと見なければ、なんの意味もありません。

 自社の話で恐縮ですが、私の会社、小宮コンサルタンツは10人規模の小さな会社のため全員に目が届きやすいと言えます。それでも、あるお客さまの会社の仕組みを取り入れました。

 社員には月1回、各人の目標シートを提出してもらい、どのような目標を立てて、そのように行動しているのかを把握し、マネージャーや私がコメントを書いて戻すのです。小さな会社であっても、個々の社員の細かい部分までは分からないため、目標シートはとても役に立っています。