DCMホールディングス(東京都/久田宗弘社長)の2011年2月期決算は、連結営業収益4223億7400万円(対前期比0.1%減)、連結経常利益131億6400万円(同9.4%増)で、減収ながら経常増益を達成。3社統合による仕組みづくりに注力してきたこれまでの展開から、昨年10月、売上を取りにいく体制への転換を図り、統合効果を発揮する政策に大きく舵を切るという。(ダイヤモンドホームセンター 太田さとし)

昨年10月から売上急上昇

 決算発表の冒頭、同社取締役でホーマック(北海道)社長の石黒靖規氏より、東日本大震災の状況報告が行われた。

 ホーマックの岩手県、宮城県の店舗を中心に、震災直後は28店舗が営業休止を余儀なくされた。災害発生後から、「被災店舗復旧プロジェクト」を発足し、120名の社員を派遣して、施設の修繕などにあたっている。6月1日現在でも部分営業の店が6店舗、5店舗が当面閉店の状況にある。

 一方、決算は2月末日締めのため、震災影響はなかった。

「3社統合による仕組みづくりを終えて、昨年10月から新体制による本格的な営業を展開したことで、下期の売上は急速に上がっている」(DCMホールディングス・久田宗弘社長)という。

 期初には既存店売上高を対前期比2.8%減で計画をしていたが、実績値は同1.8%減となり、1ポイント予想を上回った。

 とくに、政策的に売上増を図るために導入している「品種拡大店舗」の売上が好調だった。導入店舗の直近2月の実績を見ると、ホーマックのスーパーデポ久慈店(岩手県)で前年同月比53%増、スーパーデポ西岡店(北海道)では24%増、カーマ(愛知県/豊田芳行社長)の北方店(岐阜県)では39.4%増と順調に推移している。この結果を受けて、立地状況などを加味して、このタイプの店の展開を進める計画だ。

2012年2月期は既存店売上高プラス成長を計画

DCMホールディングス<br />統合による仕組みづくりのフェーズ終え、<br />新体制による本格的な営業体制に移行

 11年度計画と見通しについては、カーマ、ダイキ(愛媛県/佐藤一郎社長)、ホーマック3社合わせ、新店8、退店4を計画。既存店売上高は対前期比で0.1%増を見込んでいる。

 売上計画などは、震災の影響で営業休止店舗のマイナスを見込んで計画をつくり直しているところだが、マイナス要因ばかりでもない。実際、3月の実績は、既存店売上高が同6.8%増を達成している。これは震災後の特需的な売上を含んだものだが、4月になっても同じようなペースで推移しており、東北地方の店舗においても、復興需要も相まって大幅に伸張している。

 これらの震災関連の動向は予測が立たないため、当面はマイナス要因だけを換算する。休業店の影響で、売上が減少する分を想定して、当初計画より、売上で60億円、売上総利益額で18億円の減少を織り込む。一方、販売管理費は当初計画より8億円を削減し、売上高4130億円、営業利益135億円を11年度通期の計画数値として挙げている。

 いずれにしても、3社統合による仕組みづくりから、売上を取りにいく体制へと一気に転換する政策を引き続き進めていく方針に変わりはない。

 具体的には、地域与件商品(地域ニーズに直接対応した商品)を強化し、各店に積極的な導入を図っていく。

 また、競合に対して確実に対応できる商品として、とくに、消費者が望むミドルラインの商品強化を積極的に進める。とくに震災の影響で、今後、需要が急増すると見込まれる節電対策の商品の用意をすでに始めている。たとえば、充電式の扇風機、安眠グッズなどの問い合わせがすでに急増しており、近日中にボリューム陳列できる見込みだという。


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