被災した東北地方では、自然エネルギーを軸とした街づくりを目指す自治体も多い。事業として地域がオーナーシップを持って育て、雇用や収益を域内にもたらせるような仕組みはどのようにつくれば良いのだろうか。過去、“補助金事業”の失敗例は枚挙に暇がなく、成功例は数えるほどしかない。それらから導かれる成功要因は、「地域の核」づくり――資質あるリーダー、需要プル発想、大局的視野を持つ首長の協力――にあるようだ。

 7月8日、宮城県気仙沼市を訪れた。津波の爪あとはすさまじく、まだ多くの瓦礫が残る。復興への道のりは容易でない印象を受けた。

 訪問の目的は他でもない。自然エネルギーをベースにした街づくりを進めていくための議論、意見交換をするためだ。現在、審議中の再生可能エネルギー法案が成立したとき、地域でどう受け止め活かしていくべきか。

 これは単に、エネルギーの地産地消だけを狙った取り組みではない。自然エネルギーを、事業として地域がオーナーシップを持って育て、域内に雇用や収益をもたらせるような仕組みを目指すのである。

 宮城県は、県議会議長の畠山和純さん以下、知事の村井嘉浩さんも自然エネルギーに熱心だ。加えて、(財)みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)や東北大学など、環境分野の市民社会は分厚く、これからの展開に期待できる。

 同じような希望を持つ自治体は、気仙沼だけではない。宮城県東松島市や福島県南相馬市も頑張っている。自然エネルギーをベースにした街づくりに向け、機運と希望はみなさん持っておられるので、あとは具体的な方法論が必要だ。

“補助金事業”の失敗を量産する
国・自治体・受託企業の無責任トライアングル

 しかしこうした取り組みは、期待が盛り上がる一方、現実には失敗することが多い。過去にも多くの失敗事例をみてきた。

 代表例は、茨城県つくば市の“回らない風車”だろう。小中学校のグラウンドなどに23機の風車を設置したが、ほとんど発電しないばかりか、電気を消費するだけで終わった。