一人勝ちアマゾンの「市場と情報の寡占」がはらむ危険性

 米国株式市場の活況を象徴するようにアマゾンの株価は5月30日には初めて1000ドルを超えた。6月に入っても、アップルの新型スマートフォン投入が遅れるとの見方からハイテク銘柄が急落した場面を挟み、アマゾンの株価は上昇トレンドを維持している。“ネットワーク技術”が社会を大きく変えるとともにそこに巨大なビジネスチャンスが拡がる期待が高まっていることが背景にある。アマゾンはそうした期待を担うハイテク銘柄の代名詞であり、株式市場のスター的存在だ。

ビッグデータを集めて
IT空間を囲い込む成長戦略

 高株価の背景には成長への期待があり、端的に言えば、アマゾンによる市場の寡占が進むとの見方が増えている。

 アマゾンの戦略を一言で言い表すなら、“囲い込み”だ。

 顧客、市場を手中に収めて、人間の行動に関するビッグデータを他社に先駆けて集めようとしている。

 その一例が、今月16日に発表された米高級スーパーのホールフーズマーケット買収だ。これを多くのアナリストは、アマゾンによる既存業界の破壊と評した。しかし、アマゾンは、買収後もホールフーズのCEO(最高経営責任者)をその職にとどめさせると報じられている。