AIに大きな関心が集まっている。人間には対応できない大量のデータでも、AIであれば処理できる。しかも24時間365日休むこともない。AIはビジネスをどう変えるのか。活用するために何が必要なのか。AIを根底で支える半導体メーカーとしてAI戦略を積極的に展開するインテルに話を聞いた。

自ら考えて動くAIが
新しいサービスを生む

インテル
データセンター・グループ・セールス ディレクター
福原由紀氏

 ITが普及するとともに大量のデータが生み出されるようになった。これにスマートフォンなどデジタルデバイスの普及や“モノのインターネット”と呼ばれるIoT(Internet of Things)の広がりが拍車をかけている。一人の人間が生み出すデータ量は2020年には1.5ギガになると予想されている。

 データ爆発ともいうべきこの状況の中で、注目を集めているのが、AI技術だ。コンピュータが人間の代わりに大量のデータに向き合い、新たな価値を提供することが期待されている。我々はこのAIをどう捉えればよいのだろうか。

「AIは社会やビジネスのあり方を大きく変えてしまう可能性があります。ITの歴史の中で『第4の波』といってもよいくらいのインパクトを持っています」と指摘するのはインテルの福原由紀氏だ。

 ITはこれまでに大きく姿を変えながら進化してきた。それまで人が手作業で行っていた事務処理を肩代わりする存在としてメインフレームが誕生し、低コスト化の推進により、より身近なIT活用をもたらしたオープンサーバーが登場し、システム、データ、ソフトをネットワーク上に集約し、効率よく活用できるクラウドコンピューティングが普及した。そしてそれに次ぐ第4の波がAIというわけだ(図1)。

図1 AIはIT革新の「第4の波」
拡大画像表示

「ITが進化するたびに、世の中の構造は大きく変わってきました。ただ、今までのITは人がやってきたことをより効率化したり、簡素化することが目的でしたが、AIは違います。これまで人ではできなかったことを、できるようにしてしまうのがAIなのです」

 これまでコンピュータは人の指示によって動いてきた。プログラムは人が用意し、処理するデータも人が用意してきた。しかし、AIは大量のデータを自ら学習し、処理するためのロジックも自ら考え出す。福原氏は「AIによって想像もつかない新しいサービスが生まれてくるかもしれません」とその潜在能力の高さを強調する。