「一流」になるために磨くべき、「人間関係」・「仕事」・「運」・「お金」・「自由」・「生き方」とは。映画監督、ライフスタイル・プロデューサー、生活探検家と、幅広く活躍する浜野安宏(はまの・やすひろ)氏による「提言」を、書籍『一流の磨き方』より、一部、抜粋して紹介する。「本物」を知る人だけが、本物になれる!

「住みたい場所がない」ということは、
主体的に生きることをあきらめている

人には「職場」よりも、圧倒的に重要な場所がある

 家と職場の距離は、近いほうがいいのか、それなりの距離があったほうがいいのか、人によって意見がわかれると思いますが、私の答えは「明快」です。

「職場から遠かろうが、近かろうがそんなことにとらわれないで、自分が住んでみたい場所に住んでみればいい」

 なぜなら、住む場所を決めることは、職場(就職先)を決めること以上に、自分の暮らし方、生き方を反映しているからです。

 たとえば、日本の大学生が卒業後の生活を考えるとき、「最初にどの会社に入るかを決め、その次に、住む場所を決める」のが一般的です。

 ですが私は、若い人たちに、あえて、こう言いたい。

「先に、住む場所を決めてはどうですか?」

 アメリカの大学生たちは、卒業が近づくと、友人にこう聞きます。

「卒業したら、キミはどこに住むんだい?」

 ところが日本の大学生は、こう聞きます。

「卒業したら、どこに就職するの?」

 私は、若いうちから、「自分が住む場所を選べる能力」を身につけてほしいと思います。
「自分が住みたいと思える場所」が見つかるまで、旅を続けるべきです。

 なぜなら、「住む場所を決める」ということと、「自分のライフスタイルを決める」ことは、ほぼ同義だからです。

 就職をして、安定ムードを得て、「会社のを受けるかわりに自由を失う」ような生活に、何の魅力があるのでしょうか。

 それよりも、「自分が何をやりたいか」のほうが、はるかに大切だと思います。

 主体性のないフリーターをすすめているのではありません。「自分のありたいようにあること」が、いちばん重要です。

 すでに世界は「就社」から「就職」に大きく変わり、日本も、会社まる抱え、終身雇用なんてなくなり始めています。欧米では当たり前です。自立しなければ!

 住みたい場所に仕事がなければ、自分で会社をつくればいい。

「ここに住みたい」と思っても、そこに住むだけのお金を持っていないのなら、お金をつくればいい。時間が必要なら時間をつくればいい。私はそう思います。

「どこに住んでいいかわからない」とか、「どこに住んでもいい」という人もいますが、私にはそれが不思議でしかたありません。

「住みたい場所がない」ということは、主体的に生きることをあきらめていることであり、私から見れば、「歯車の一部になっている証拠」のように思います。一流なんて、到底、無理ですね。

 私の友人の画家、ジョー・フェイ(Joe Fay)は、ロサンゼルスのダウンタウンに住んでいましたが、30年前、私との出会いを機に、家族全員でモンタナに移り住みました。

 彼がモンタナを選んだのは、職場があったからではありません。
 モンタナの壮大な自然を見たとき、「これから先の人生をどのように生きるか」その答えが見つかったからです。

 先日、彼は私にこう言いました。「モンタナで暮らすことができて、自分の人生は本当に幸せだった」と。
 私はこう返答しました。「Joe! 君こそ良い選択をした、一流の人生だったな!」

 人生において「どこに住むか」は、非常に大事なことです。

 仕事の都合、家族の都合、結婚相手の都合など、住む場所を他人に決めさせるのではなく、主体的に自分で決める。

 これから先の20年、30年を「どこに住めば、満足して生きていくことができるのか?」を一度、冷静に考えてみたほうがいいと思います。