エルメネジルド ゼニア<br />ボタンホールという名のモカシン

 イタリア共和国ピエモンテ州のビエッラは、アルプス山麓に位置する織物工業の中心地。1910年、このビエッラ・アルプスの小さな町トリヴェロに、エルメネジルド ゼニアは服地工場を設立します。

 創業から20年後には40か国以上にビジネスを拡大。大戦後の1968年にプレタポルテ(既製服)事業を、1972年にはパターンオーダー事業を開始しました。

 また、1980年代にはミラノとパリに路面店をオープン。2015年、東京・銀座2丁目中央通りの「エルメネジルド ゼニア銀座グローバルストア」が最新の旗艦店です。

 アゾラ(Asola=イタリア語でボタンホールの意)という名のモカシンは、同店1階中央部の靴コーナーにラインナップ。エルメネジルド ゼニアの出自を思わせる洒脱なデザインに思わず購入。それほどに魅力的です。

 エルメネジルド ゼニアグループは、オーストラリアで羊毛生産牧場を経営しています。牧羊、製織、縫製、小売までの完全垂直統合型サプライチェーンを完成させた稀有な企業です。

 完ぺきで高級なSPA(製造小売業)といってもよいかもしれない。企画やデザインといったクリエイティブも内製で、ゼニアブランドのすべてのクリエイティブに責任をもつのはアレッサンドロ・サルトリさん。

 ビジネスにクリエイティブは要諦ということで、グループ総帥のジルド・ゼニアCEO直属として昨年新設されたアーティスティックディレクターに就任。アゾラの開発も初仕事のひとつだったそうです。