富士フイルム、デジカメ販売台数9割減でも売上を増やせた秘密飯田年久・富士フイルム光学・電子映像事業部事業部長 Photo by Ryosuke Shimizu

 京都府にある世界遺産、二条城。明治維新のきっかけとなった大政奉還が行われた場所である。

 2017年はその大政奉還から150周年という節目の年。そんな中、2月に異例の発表会が二条城で行われた。

 発表されたのは、富士フイルムの中判ミラーレスカメラ「GFX50S」。広告のための撮影をするようなプロや、高い画質を求めるハイアマチュアといわれる層に向けたカメラで、決して広く一般的に売れる製品ではない。

 ところが、わざわざ京都の二条城で開催した上に、製品発表にはほとんど登場しない会長CEO(最高経営責任者)の古森重隆まで登場したのだ。

 そこには、カメラ市場の2強であるキヤノン、ニコンからシェアを奪い、大政奉還のように歴史を動かすような製品になってほしいという思いがあった。

 だからこそ、開発を担当した光学・電子映像事業部事業部長の飯田年久が古森に二条城での開催を報告すると、「よし、俺も行こう」と古森が逆提案してきたのだ。

目標は1キログラム以下
結果は740グラムに

 GFX50Sの大きな特徴は、センサーのサイズにある。

 デジタルカメラやスマートフォンに内蔵されるカメラは、CMOSと呼ばれるセンサーが光を受け止めることで、画像を生成する。

 センサーサイズは大きければ大きいほどノイズが少なく、明暗差がある場面でも美しい写真が撮れるなどのメリットがある。