2010年12月の発売以来、日本でもザッポスおよびトニー・シェイのファンを増殖させている書籍『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』ですが、これまで9回にわたり、日本のさまざまな層のザッポス伝説ファンの情熱を紹介してきました。第10回からは数回にわたって、渡米して、直接ザッポス・ファミリーに話を聞き、同書に書ききれなかった内容や出版してからの新たな動きについて、まとめています。今回は、レベッカ・ヘンリーとホリー・デラニーの二人の人事(HR)マネジャーに、ザッポスの人と組織、そしてカルチャーについてうかがいました。

人材を惹きつける
ザッポスの採用

会社を魅力的な場所にする<br />ザッポスの人事の秘密に迫る<br />――ザッポス人事マネジャー、<br />レベッカ・ヘンリー、ホリー・デラニーレベッカ・ヘンリー(Rebecca Henry、写真左)
HRディレクター。べラジオなどのカジノ、ホテルでのHR担当を経て、2007年から現職。会社よりカルチャーを守ることに注力している。
ホリー・デラニー(Hollie Delaney)
シニアHRマネジャー。カジノ、遊園地、小売チェーンなどでのHR職を経て、HRゼネラリストとして2006年にザッポスに入社し、社員リレーションを担当。現在は、福利厚生、ZCONチーム(受付、シャトル・サービス、トラベルほか社内コンシェルジェ)など6つの機能を統括。

 『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』の発売後、ザッポスはさらに急成長しています。2011年6月時点、全社員が3100人、うちラスベガスに1200人(一年で200人増)、ケンタッキーに1900人(一年で倍増)です。アマゾンとエンドレス(アマゾンの靴のオンライン・ショップ)の物流を移管し、フルフィルメント(物流)センターは特に大きく拡大しました。

 これだけの人数の採用に成功していることも驚きですが、こんなにも外部から新しい人材が入社してきて、ザッポスの最大の特徴である独自の企業文化は大丈夫なのか、人事担当者はどう見ているのでしょうか。

「昨年のクリスマス・シーズンのケンタッキーでの臨時雇用者の大半を社員にしました。ラスベガスでは臨時雇用はせずに、全員協力して繁忙期を乗り切りました。ラスベガスの人員構成はおおまかに、大きな順にCLT(カスタマー・ロイヤルティ・チーム)に450人、IT部門に200人、マーチャンダイジングが150人~200人、ファイナンスが75人~100人です。あとは人事部門(HR)や施設部門などがあります。HRは28人で、うち14人が採用担当、HRとは別にトレーニング担当に15人がいます。

 求人は社員の紹介が中心です。社員の友達が入るのは職場が楽しくなるからいいことですし。CLTのほとんどは社員の紹介であり、もう二年も求人広告を出していません。いま500人がウェイティング・リストにいます。ITやファイナンスなどラスベガスで人を見つけにくい職種は、採用エージェントを使っています。