難聴の妻のために補聴器事業を起こした創業者の意志を継いで100余年。オーティコンは聞こえに悩む人々の声に耳を傾けながら世界100ヵ国以上に補聴器を提供している。

脈々と引き継がれる
創業者の思いが結集

 オーティコンは、福祉先進国デンマークで100年以上前に誕生した。その創業はある意味必然だったといえる。創業者ハンス・デマントが、難聴者であった妻カミラのためによりよい補聴器を求めたことがきっかけだったからだ。

 その後ハンスの思いは、二つの専門研究所をはじめ、音響機器、検査機器などの複数企業を傘下に持つグローバルカンパニー、「ウイリアム・デマントグループ」を形成するまでとなった。オーティコンはその中核会社である。

 オーティコンの歴史は革新の連続といっていい。とりわけ近年の技術革新はめざましい。たとえば91年に世界初の全自動型のアナログ補聴器を発売。96年には世界初の耳かけ型デジタル補聴器、2004年には人工知能搭載モデルを送り出すなど、“技術のオーティコン”にふさわしい革新的補聴器を開発し続けている。

 こうした革新を可能にしているのは、毎年売上高の10%もが投入される研究開発費であり、世界中から集められた専門家たちの高度な知識。そして何より創業者ハンスが抱いた思い──すなわち聞こえに悩む人々に寄り添い、人々がいきいきと生活できるように力づけていく「ピープル・ファースト」の企業理念が貫かれているからだ。

メガネのように自然に
補聴器から「みみとも」へ

 オーティコンが掲げる「ピープル・ファースト」の理念は、聞こえに悩む人々の声に真摯に耳を傾けることから始まる。そして、聞こえに悩む人々の周囲の環境、社会全体の意識や理解についても取り組むことでもある。

 同社日本法人ではかねてより難聴者に対する一般人向けの啓蒙活動や、難聴者とその家族の絆を深めるイベントなど様々な事業を手がけてきた。

06年コペンハーゲンを離れ郊外のコンゲバッケンに移転。革新的なオフィスは、創造の源。

 その一つ、補聴器にまつわる体験記や川柳、短歌を募集して作品集にする「聞こえいきいき大賞」は、今年で7年を迎える。まだまだ遠い存在である「補聴器」をより身近に、ごく当たり前に使ってもらうための活動だ。07年からは乳がん撲滅のためのピンクリボン活動にも協賛。また今年の7月24日の親子の日に行われたカメラマン、ブルース・オズボーン氏が開催する「『親子の日』撮影会」に、補聴器ユーザーと家族を全国から招待、家族の絆を写真を通じて体験してもらっている。

■■人を支えて、人と共に生きるオーティコンの支援事業■■
(左)米国写真家ブルース・オズボーン氏/(右)オズボーン氏が撮影したみみともファミリー
<1>みみとも親子キャンペーン
親子の写真を撮り続ける米国写真家ブルース・オズボーン氏。7月第4日曜「親子の日」に抽選で10組のオーティコンユーザーの家族を、オズボーン氏の撮影会に招待。各親子に¨最高の1枚¨を進呈した。

<2>ピンクリボン
07年より「ピンクリボンフェスティバル」に協賛。「ピンクリボンスマイルウォーク東京・神戸」に本年もイベント協力する。

<3>聞こえいきいき大賞
補聴器への理解や共感、普及を目的に同社では、体験記や川柳・短歌・俳句の賞を主催。今年で第7回を迎える。