9月から上海の東京短資駐在事務所に長期出張している。

 インフレ抑制のための中国人民銀行の金融引き締めにより、資金繰りが苦しくなった中小企業は多く存在している。日欧米の金融市場関係者やマスメディアは、「中国の内需は失速しないか?」と心配している。しかし、中国では逆に「海外経済は大丈夫か?」と警戒する論調が多い。国内要因による消費停滞が起きた場合は中国当局がなんとかしてくれるだろうが、リーマンショックの再来のような大混乱が欧米で起きて輸出が激減すると、かなり厄介なことになると懸念されている。

 とはいえ、上海の街を歩くと、バブリーな人びとの勢いは衰えていないことに気づかされる。中秋節(祝日)に人民広場の向かいにあるポルシェの販売店は、若い家族連れでにぎわっていた。巨大なボディのカイエンに人気が集まっていた。その近くの大型デパートの1階では、ランボルギーニの展示販売会が行われていた。スイス系超高級時計のテナントのショーウインドーには日本円で1000万円近い時計が並んでいた。

 南京西路にも欧州系ブランド店が林立している。タグ・ホイヤーでは、金、宝石、ワニ革で装丁された卯年マーク入りのスマートフォンが売られていた。

 中国はいまや世界のラグジュアリー商品市場の約2割を占めている。さすがに沿岸部では伸びが鈍化してきたようだが、ルイ・ヴィトンなどは、内陸の2級、3級都市へと店舗を積極展開している。