「風俗嬢=貧困」報道に違和感を抱く元風俗嬢の意外な証言(上)※写真はイメージです

“貧困女子”といったキーワードが流行るなど、女性の貧困問題を報じるメディアが後を絶たない昨今。その中には特に悲惨なエピソードとして風俗嬢が登場することが少なくない。植え付けられる“風俗嬢=悲惨な貧困”イメージ。そうした側面は当然あるからこそ、多くのメディアが取り上げるのだろうが、賛同以外の声も業界の一部からは聞こえてくる。風俗嬢時代の体験談を赤裸々に描いたコミックエッセイを電子書籍化した、漫画家の紫藤ももえさんに聞いてみた。(フリーライター 有山千春)

風俗嬢歴10年の漫画家が語る
悲惨な記事には意外感

「『えええ?へーーそうなんだーーー!びっくり!』って、感覚です。風俗嬢と貧困が結びついた悲惨な記事を読むと」

 まるっきり他人事、別世界の話、として捉えるのは、風俗嬢歴約10年の紫藤ももえさんだ。さきごろ、風俗嬢時代の体験談を赤裸々に描いたコミックエッセイ『恋するメス豚 ダメ女が風俗嬢になっちゃいました』(ブックバーガー)を電子書籍で刊行した、兼業漫画家でもある。

「あくまで、風俗業界をごく一部しか知らない、一人の風俗嬢の一例でしかありませんが…」と前置きして紫藤さんが話すのは、世間に蔓延する悲惨な貧困イメージとは少し違う“現実”だった。

「私が風俗嬢になった約10年前は、すでに性に対するモラルが薄くなっていた時代といいますか、20年以上前ならばあったかもしれない体を売ることへの抵抗感が薄く、軽い気持ちで働く子が多かった印象です。かく言う私もそうでした」