デフレが進行する日用品、化粧品市場にあって、低迷から脱出し業績に回復傾向が出てきた花王。厳しい環境の乗り切り策を聞いた。

花王社長 尾崎元規<br />デフレの国内市場でも勝機あり<br />ニーズを取り込み単価アップPhoto by Masato Kato

──日用品市場は長期にわたってデフレが続いている。

 東日本大震災の影響でさらに人びとの節約意識が強まり、そこに円高が追い打ちをかけた。

 しかし、現状に甘んじていてはダメだ。節電や節水というニーズがあれば、それに対応した商品を開発すればいい。洗濯時のすすぎが1回ですむ「アタックneo」は価格が多少高くても、着実に売れている。節水というニーズに応えたからだ。小売り店からも、利益が取れる商品として支持されている。新技術で高付加価値化を図っていけば、チャンスはある。

──最も売上高の比率が大きいビューティケア事業で、営業利益率はわずか1%。構造変化を迫られている。

 市場調査によると、化粧品の低価格化が進んでいる。ボリュームゾーンの2000~5000円の商品は最も落ち込みが激しく、2000円以下のセルフ化粧品を選択する人が増加している。従来は新商品を投入し、プロモーション活動を行えば売れたが、こうしたビジネスモデルは通用しなくなってきた。そこで、ソフィーナブランドの統合を進めている。在庫水準を適正化し、マーケティング投資を集中することで効率化を図る。