“汚染大国”中国がEVへと舵を切り始めた本当の思惑ホンダは今年9月のフランクフルト・ショーで電気自動車の“アーバンEVコンセプト”を発表したEV専用プラットホームを使って開発するモデルでこのショーをベースにした市販モデルを2019年に発売する予定だという(ボディサイズ/モーターなどのスペックは未公表)。エンジンの場合は排出ガス規制が地域と国で異なるがEVは“排出ガスを出さない”点で世界共通の対応ができる

欧州のEV気運が中国に飛び火
世界最大の自動車需要国はどう動く?

 フランスは「2040年に内燃機関(ガソリンエンジンとディーゼルエンジン)搭載車の販売を禁止する」と宣言、イギリスもこれに同調した。欧州でいま、電気自動車(EV)待望論が急速に盛り上がっている。この流れが中国に飛び火した。9月中旬、現地での報道によると、中国工業情報省が「化石燃料車の生産・販売禁止の時期について関係部局との検討を開始した」という。世界最大の自動車需要国が本当にEV(電気自動車)へと舵を切るのか、世界の自動車産業が注目している。

 中国の新華社通信などによると、中国工業情報省の高官が天津市で開催された自動車フォーラムで「大気汚染を引き起こす化石燃料車の規制を目指して検討を開始した」と語ったという。近い将来、ガソリンまたは軽油を使用する乗用車について生産・販売の禁止時期を定めるようだ。いつまでに禁止時期を決定するかに関しては言及せず、現在は「検討を指示した」段階だという。

 工業情報省は、ガソリン車とディーゼル車の排出ガスが「深刻な大気汚染を引き起こしている」とコメントした。だが、中国の大都市で冬場に発生するPM2.5による大気汚染は石炭暖房が最大の原因であることは日本の研究機関が証拠をつかんでいる。中国から日本に飛来するPM2.5を分析したところ、それが“石炭の燃えかす”だという実態が数年前に明らかになった。しかし、中国政府は「急増した自動車の排出ガスが問題だ」と公表している。今回の工業情報省の発言も、この政府見解に沿ったものだ。