悪質クレーマーに屈しないためにどうすべきか

「お客様は神様だろう!」これを常套句として無茶な要求をする悪質クレーマー。「言ったもの勝ち」と考える人が増える中、こうした悪質クレーマーの対応に悩む企業も多いようだ。しかし一方で「悪質クレーマーに屈してはいけない」という風潮も少しずつ出てきている。悪質クレーマーに企業はどう対処すべきだろうか。(取材・文/フリーライター 吉永麻桔)

自分が世の中の中心。それが悪質クレーマー

 筆者も企業でクレームの一次対応をしていたことがあった。悪質クレーマーのことがよく話題になるが、クレームの大半は正当な理由で意見をいってくる客がほとんどである。会社側に非がある場合、丁寧にお詫びをしてしかるべき対応を取らなければならない。客側に勘違いや誤解があるときは、まずは心配をさせてしまったことに対して詫び、誠意をもって誤解を解くようにする。

 きちんとしたクレームを言ってくる客に対しては、このように誠意を持って対応することでほとんど解決するものだ。ところが悪質クレーマーはそうはいかない。なぜならば、そもそもの出発点が理不尽な言いがかりだからだ。筆者が実際に経験したのは、次のようなケースだ。

 年会費を支払うことで、サービスを受けることができるシステムを利用していた会員A。会費が未払いで、何度か督促をしたにもかかわらず支払いがなかったため、サービスの利用を停止した。すると直後にAから電話があり「なんで利用できないのよ!!」と罵声を浴びせてきた。

 事情を説明すると「そんなの聞いていない。督促なんて知らない」の一点張り。会費を支払えばすぐに利用できるようにすると伝えても「払うっていってるんだから、今すぐ利用できるようにしろ」と叫ぶ。挙句の果てには「客に対してその態度はなんだ!あんた、頭おかしいんじゃないの」と暴言を吐く始末。結局クレームを言い続けるのに疲れたAが電話をガチャ切りするまでの1時間半、ひたすら同じ説明を繰り返したのだった。