神戸製鋼「解体・再編」の導火線となる3つのリスク<br />Photo:REUTERS/アフロ

名門・神戸製鋼所の信用不安が止まらない。不正の温床がアルミ・銅から鉄鋼製品へ広がり、巨額の損失リスクが日増しに高まっているのだ。神戸製鋼の独立路線に赤信号がともっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

止まらぬ信用不安
膨らむ損失懸念

 最近、「秋晴れ」とは程遠く雨が降りしきるのは、日本の製造業関係者の心持ちが映し出されているからなのかもしれない。

「冗談じゃない。いい迷惑ですよ」。ある大手メーカー幹部は憤りをあらわにする。10月14、15日は、土日返上で大勢の社員が出社し、「神戸製鋼製の部品・部材の確認作業に追われた」(同)。

 8日に発覚した神戸製鋼所の検査証明書のデータ改ざんや検査工程の省略──。この一大スキャンダルの発覚で、製品の安全性の検証を余儀なくされていたのだ。

 神戸製鋼の不正は、8日時点ではアルミ・銅部門のみが発表されたが、11日には鉄粉などでも同様の不正があったと判明。13日には、鉄鋼製品などでさらに広範囲な不正が行われていたことが明らかとなった。不正製品の供給先は約500社にまで拡大し、日本の製造業全体が揺れている。

 不正の原因について、梅原尚人・神戸製鋼副社長は「納期や生産目標達成へのプレッシャーなどがあったようだ」と語ったが、「そんなものはどの企業にもある」と、取引先関係者の怒りは収まらない。

 むしろ、「最終製品になるまでに安全検査は何度もされるし、製品自体に絶対的な自負もあったんじゃないか」(素材メーカー首脳)と、他力本願とゆがんだ自信が不祥事の元凶であると推測する。