マンション開発適地は相変わらず不足、狭い土地にもデベロッパーの手が伸びている。最近、比較的大規模な土地が売りに出たが、買い手が付くのか注目される。一方で、土地売買を巡るブローカーの暗躍も始まってきた。 

加藤剛司
かとう・こうじ/ エステイトアクティフ(2015年12月、1969年創業の名古屋エステイト社から社名変更)代表取締役兼代表執行役社長。東海高校、早稲田大学法学部卒。名古屋テレビ放送勤務を経て、現職。名古屋の不動産事情に精通、不動産の総合コンサルタントとして顧客の資産形成に寄与している。

 10月5日に中核施設「グローバルゲート」が全面開業して、ささしまライブがまちびらきをしました。貨物の旧国鉄「笹島」駅跡地を中心とした再開発です。これで10年後のリニア新幹線開業まで、しばらく「名古屋」駅周辺の再開発の話題は落ち着きそうです。

 いま私が注目しているのは、「名古屋」から2㎞ほど西にある同じ中村区の土地です。地下鉄東山線「中村日赤」は病床数852の名古屋第一赤十字病院に直結していますが、この駅から5分ほどのところに中村遊郭がありました。1923年に東京の吉原を模して開かれ、戦後は名楽園と改称、現在も数軒のソープランドが残っています。

 そのうちの1軒の跡地が坪100万~120万円ほどで売りに出されています。3~4年前には坪60万円ほどでした。遊郭当時の区画がそのまま残り200~300坪ほどありますので、マンション開発に適した広さが確保できます。かつての大きな妓楼はデイサービスセンターなど高齢者福祉施設に転用されており、日赤病院のお膝元として医療関係施設が増えるなど街は変貌を遂げている最中です。

 とはいえ、大手デベロッパーは「駅西」と呼ばれるこの周辺ではマンション開発を手控えてきました。ファミリータイプの手頃な物件が開発可能な条件がそろっているだけに、どこが手を挙げるのか、注目しています。