各社がこぞって開発を進める「空飛ぶクルマ」の実現度「クルマが空を飛ぶ時代」は、本当にすぐそこまでやって来ているのか?(写真はイメージです)

ミニヘリかドローンか?
「空飛ぶクルマ」報道の中身

 クルマが空を飛ぶ時代は、すぐ目の前までやってきた──。いま、世界中でこうした報道が目立つ。だが、取り上げられているのは大型ドローンや翼の生えたゴルフカートの類ばかりだ。ふだんボクたちが親しんでいる“自動車”が空を飛ぶようになるとは、まだ誰も言っていない。

 “空飛ぶクルマ”の開発は、ライドシェア(相乗り)車サービスを手がけるウーバーテクノロジーズ、グーグルの創業者のひとりであるラリー・ペイジ氏が出資するキティホークなど、米国がリードしている。ウーバーはヘリコプター最大手のベルと共同で、3~4人乗りエアタクシーの開発に着手した。キティホークも搭載重量150kg程度の“手軽な小型機”を開発するプロジェクトを打ち出している。欧州からは、旅客機最大手のエアバス・インダストリーズやスロバキアのエアロモービルなどの計画が伝わってくる。

 これらはいずれも、実用化時期を2020年代の初めに置いている。しかし、現時点で公表されている試作機やコンセプトモデルを見るかぎりは“空が飛べて、陸も走れるクルマ”ではなく、簡単な降着装置やごく短距離の移動で使える車輪を備えた“飛ぶことがメイン”のミニヘリ、あるいは大型ドローンという類である。トヨタが出資を決めた社内有志のプロジェクトも、大型ドローンである。

 ヒトとモノの移動を“好きなとき”に行えるという意味では、ミニヘリもドローンも確かにクルマと同じかもしれない。しかし、自動車として一般公道を走るためには、さまざまな規制に適合しなければならない。