AKB48だけじゃない人気商品の「総選挙」ブーム<br />カップヌードルやキットカットが消費者の心を掴んだ理由美味しそうなキットカットがズラリと並んでいる。筆者も食べたことのない商品がたくさんあり、復刻して欲しいものばかりだ。

「総選挙」と言えば、当然ながら政界で行なわれる選挙である。ところが、今や国民的アイドルグループとなったAKB48がこの言葉を商用利用してから、「総選挙」のイメージがガラリと変わったのは、多くの方が知るところだろう。

 同時にその手法は、CDが売れなくなったと言われる音楽業界の中で、ヒット曲を次々と送り出すことにも繋がった。そうした「総選挙」という商法を上手に利用しながら、顧客が望んでいる商品を送り出している企業がある。日清食品のカップヌードルシリーズがそれだ。

 すでに投票も終わり、開票結果が発表されているが、このカップヌードルシリーズは、1971年から発売されているロングセラー商品である。それゆえ、すでに販売が終了している商品も少なくない。「過去に発売されたカップヌードルが73種類もあったのか」と、今さらながら驚いてしまう。

 日清食品が「歴代カップヌードル復活総選挙 40th Anniversary CUPNOODLE」と称して、総選挙によるシリーズ復活を行なったところ、投票数はなんと約186万通というから、その関心の高さが窺える。

 結果はと言うと、1位は「カップヌードル 天そば」、2位「カップヌードル ブタホタテドリ ローストしょうゆ味」、3位「カップヌードル スパイシーカレー」という順位になった。3位から順次販売されていくということなので、ぜひ食べてみたいものだ。そこには懐かしさを感じる人もいれば、新鮮な味として捉える人も、多くいることだろう。

 次に紹介したいのは、「キットカット」の総選挙。ネスレが製造販売しているお馴染みのチョコレート菓子だ。もともと海外で販売されていたが、1973年に日本でも販売されるようになった。こちらもすでに投票は終了しているが、12月7日に第1位が発表される。

 ちなみに、キットカットもカップヌードル以上に「期間限定品」や「ご当地品」の種類が豊富にある。期間限定品だけでも200種類以上、ご当地品も40種類以上あるのだから凄い。

 このキットカットも、カップヌードル同様、ロングセラー商品だが、今回の総選挙では、過去に販売された19品と未発売商品1品の、計20商品がエントリーされている。新商品は、キットカットココア味。キャッチコピーは、“誰も知らないココアの「キットカット」”。だが、エントリーされている中で、特別目立つような工夫は施されず、平等に扱われているのが“にくい”ところだ。

 10月7日に上位10候補を発表。11月7日には、キットカット「抹茶」「オレンジ」「ストロベリー」「ロイヤルミルクティ味」の上位5位候補が発表された。NO.1フレーバー発表後、12月中旬よりネスレ通販オンラインショップと、楽天市場内のネスレeショップにて、先行発売される予定だ。

 この2つの商品に共通しているのは、今流行の「総選挙」という手法を使いながら、消費者がどんな商品を求めているのかを、商品を買わせずして投票させる点にある。AKBの総選挙のように、商品を買わなければ投票できないなら、カップヌードル復活総選挙で約186万通もの投票が集まっていたかどうかは、わからない。

 商品の購入と関係なく投票させることができ、「消費者が何を求めているのか?」をリサーチして、その期待に応える。こういった「総選挙」ならば、消費者に大いに評価され、賛同を得るだろう。選挙そのものをビジネスにしなくても、投票結果を売れる商品づくりに反映させれば、結果的に大きな売り上げアップにつなげられる可能性は高い。

「総選挙」手法を用いた商品販売は、実は他にも多数ある。だが、やはり「AKB48」のCD販売と同様の手法なので、ここではあえて触れない。

 復刻商品がこれほどまでに消費者の関心を集めているのは、両社共に消費者に愛され続けてきた商品を開発し、販売してきたことの証拠でもある。今後は新商品を総選挙で決定するなど、新たなアプローチを期待したいところである。

(木村明夫/5時から作家塾(R)